業務効率化だけでなく、社員のITリテラシー向上にも寄与

――RPAの導入効果についてあらためて伺います。

 私は大きく2つに分けて整理しています。1つは、業務の自動化による直接的な効果です。処理の高速化やスケーラビリティの確保などが挙げられます。例えば、テレビ通販などで人気商品に大量の注文が入るような場合、従来はコールセンターの人員を増やす必要がありましたが、RPAで対応できる業務であれば、ロボットの数を増やせばいいのです。ロボットですから、長時間働いても疲れることはありませんし、経験値や知識量の差による作業品質のばらつきもないため、エラーの排除にもつながります。また、シナリオの形で業務プロセス自体を標準化できます。さらに一般的な業務システムの開発に比べて、低コストで済むといったメリットもあります。

 もう1つは、私が2017年当時から言い続けている、副次的・相乗的効果です。バックオフィス業務だけではなくて、フロントオフィス業務にまで適用範囲を広げていくことで、利用者による自動化促進を期待できることが挙げられます。これまで業務システムの開発には情報システム部門の関与が不可欠でした。RPAの開発は簡単だとは言いませんが、一定のトレーニングやサポートを受ければ、利用部門が主体的に業務の自動化を進めることも可能です。ITリテラシーを向上することができた利用部門は、自らの手で業務の自動化に取り組んでいくことでしょう。

 自動化の促進とITリテラシー向上のサイクルが回っていくことで、さらに自動化が促進され、テクノロジーを活用することで、自分たちの業務をどう改善していくかという企画側の発想が生まれるようになります。このことは、昨今話題のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を成功裏に進めていくために不可欠となる、一般社員のITリテラシー向上にもつながります。

 RPAの有効活用が進むと、会社に行かなくて済んだり、会社でもいままでやっていた手作業を行う必要がなくなったりするので、自分のビジネスタイムの使い方を工夫することができます。単に作業時間を減らすということではなくて、社員の業務パターンの変化を促進し、働き方改革の本質である働き方の多様性を実現することにもつながる話だと考えています。

――RPAの導入状況は、業種によってばらつきがありますか。

 全社的利用を進めている、さまざまな業務部門で適用範囲を拡大しているという意味では、金融や一部の製造業で大きな事例が見受けられますが、単純にRPAを導入しているという観点では、業種によるばらつきはあまりありません。現在はまんべんなく幅広い業種で利用が進んでいます。導入企業数ということで言えば、国内では製造業が一番多いため、当然、製造業で導入企業も多くなっています。