「どう書くか」の前に
「何が問われているか」を理解する

今道:「課題文を無視して、自分の意見を書いてしまう」という失敗例も多いです。

 特に大学入試では、最初に課題文があって「筆者の意見について、あなたが考えることを述べなさい」という形式になっていることがよくあります。

 課題文があって「筆者の意見について……」と書いてあるのに、その筆者の意見をまったく踏まえずに、ただ、そのテーマについての自分の意見を書いてしまう。

──わかる気がします……。課題文にある「テーマ」とか「キーワード」に引っ張られて、よく言えば自由に、悪く言えば自分勝手に書いてしまう。

今道:たとえば、課題文に次のような内容、主張が書いてあったとします。

・格差社会が問題だと言われるが、それは当然だ
・努力した人が、より多くの収入を得るのは当たり前だ
・努力した人が怠けた人と同じ収入・待遇だったら不公平だ

 そういう筆者の主張、意見を無視して、「格差社会」というワードだけを拾って「◯◯のような取り組みによって、行政は格差社会を是正していくべきだ」という趣旨の小論文を書く人がいます。

 でも、それは「格差社会を是正するための自分の意見や考え」であって、「筆者の意見」を踏まえていません。そういうことではなく、課題文、すなわち「筆者の意見に対して自分がどう思うのか」を書かなければなりません。

 小論文試験では、ここがとても重要なんです。どんなに知識が豊富で、立派な自説を述べていても「課題文を踏まえて」と言われているのに、それができていなければ、高い評価は得られません。

 こういう、あたりまえに思えることをちゃんと押さえているか。小論文を書くときに意識できているかどうか。それだけで結果は大きく変わってきます。

『落とされない小論文』は、受験生がやりがちで、かつダメージの大きいミスを順に克服していく構成になっている。

──今道さんの話を聞いていると、たしかに、今までの小論文対策の本とは視点が全然違いますね。「どう書くか」の前に「何を問われているか」を理解しなければ、どんなにいい文章を書いても合格できるはずがないですね。

今道:本当にそうなのです。小論文の指導していて、私が一番感じるのはそういう部分ですし、『落とされない小論文』でもそこを一番意識して、くどいくらい強調しています。