大学入試や昇進試験の「小論文対策」、超基本事項。
元NHKアナウンサーの小論文講師で、発売早々、異例の大重版が続く現在6刷2万8000部超のベストセラー『全試験対応!直前でも一発合格! 落とされない小論文』の著者「ウェブ小論文塾」代表・今道琢也氏が、今もはびこる「起承転結絶対論」の盲点を突きます。(構成:今野良介)
「起承転結」の呪縛から解き放たれてください
小論文だけに限らない話ですが、文章を書く時の注意点として、よく「起承転結をつける」ということが言われます。
この言葉を、単に「話の流れをきちんと整えることが大事である」という意味で受け取るならば良いのですが、文字通り「起→承→転→結の順番で書かなければいけない」と受け取ってしまうと、問題です。
以前、私が昇進試験の小論文指導をした際に、こんなことがありました。
私と受講生の方とで何度も答案の練習を繰り返し、「これなら大丈夫ですよ」というところまで仕上げました。答案を採点するのは外部の採点業者だったのですが、その受講生は、意見を聞こうと、会社の上司や先輩に答案を見せました。
すると「こんな答案では合格できない。論文とは『起承転結』の順番で書いてあるべきだ。この答案はそうなっていないから論文ではない」と散々にいわれたそうです。
その方は不安を感じていたのですが、私は「大丈夫ですよ。プロの採点者はそんな評価はしませんよ」とお答えしました。結果として、その方の論文は高い評価を得て、昇進が決まりました。
「起承転結」とは、文章をどう書いていいか分からない人のために「こういう順番で書くと分かりやすいですよ」という極めて基本的な型を示したものです。「必ずそうでなければならない」というものではありません。
「基本的な型」なのですから、出題が複雑になってくると、そのような単純なパターンではとても対処できません。
たとえば、次のような出題があったとします。