回転寿司で
「お金の時代が終わるんだ」と実感

 一方で、日本に一時帰国したときにも、別の意味で衝撃を受けたことがあります。

 仙台を訪問したときに、不動産物件の管理をお願いしている不動産屋さんと、昼食をご一緒しました。震災のあと、店を畳む個人経営のお店も多く、結局、ショッピングモールに隣接する回転寿司でランチすることになりました。

 土曜日のお昼どきだったこともあり、かなりの盛況。順番待ちになりました。「いらっしゃいませ」ホールスタッフは声をかけてくれますが、順番の予約はタッチパネルでの操作です。番号がコールされ、スタッフに席へ案内してもらいます。

 席数は100席くらい。でも、ホールスタッフは数名。流れてないネタはタッチパネルで注文します。中トロを押すと、音楽が流れ、皿の到着を教えてくれます。

 100円の回転寿司でも、ちゃんとしたネタでした。銀座久兵衛で時価と書いてある中トロを食べると、いったいいくらするのでしょうか。仮に5000円だとして、この回転寿司の50倍うまくて、50倍満足するのでしょうか。

 金額と得られる満足は比例していないのです。なるほど、お金の効率はもう悪くなっている。

 そして、この安さを実現しているのは、大量仕入れによるコストダウン。安くして競合に勝つ、モノが原価に近づくメカニズムです。

 加えて、オートメーションによる人件費のカット。ボタンを押してお勘定。手持ちのセンサーが金額を算出し、プリントアウトされた伝票を渡されレジに向かいます。フロアスタッフも数人で、おそらく厨房もそんなに人数はいないでしょう。

 「フリー」の世界が進行すると、必然的に労働は減ります。LCCだってそう。サービスはカットされていて、その分安くなっているのです。