高金利とインフレは裏腹の関係にあります。単純に言えば、インフレが進むということは、お金を持っていると、その分損をするということです。
今日100円で買えたものが、明日は110円になっている。それがインフレです。お金を持っているよりは、今日買ってしまったほうが得になります。高金利は、お金で持っている損を補正し、相殺するための措置です。中央銀行がインフレを監視して金利を調整するというのは、そういうことなのです。
私も難しい経済理論が分かるわけではありませんが、この程度のシンプルな理解で十分だと思います。
お金は紙になるという
リアリティを忘れるな
多くの国を行き来していると、現地通貨の信頼性に差があることに驚かされます。
例えば、タイのハジャイという、マレーシアとの国境付近の町に滞在したときのことです。銀行で、マレーシアリンギットはタイバーツに換えてもらえませんでした。当然ですが、円は両替できました。
結局、マーケット近くの両替業者の店で換えるしかありませんでした。国境近くの町なのに、マレーシアは信用がないんだなと、そのとき思ったものです。
もちろん、カンボジアリエル、ラオスキップ、ミャンマーチャットなど、もっとありがたくない通貨もあります。
昔は、ミャンマーチャットにコインがあったそうです。しかし、タイでそのコインを買われ、溶かされてスプーンにされてしまったので、コインを廃止したと聞いたことがあります。
原材料よりコインのほうが安くなることだって、経済の力関係によってはあるのです。
さすがに、本当の紙になってしまったジンバブエドルのように、無価値ではありませんが、一歩外に出ると、効力を失う通貨はたくさんあります。
ベトナムでも、ベトナムドンより米ドル、さらにゴールドのほうが重視されます。アルゼンチンみたいに経済破綻して、超インフレに陥る危険だって、なくはないのです。
お金は紙屑になる可能性を秘めている。日本にいて、強い日本円で暮らしていると、そのリアリティを感じることはあまりありません。
でも、思い出してください。お金はもともと概念の産物で、紙なのですから。