東南アジアで暮らしていると、日本にいては気づくことのできない「お金の本質」を知ることができる。インフレもなく、安定している通貨・円しか知らないのでは、これからの激変する時代を生きてはいけないだろう。「お金」とは、どんなものなのか。これからの「お金」との付き合い方とは?

物価と金利の関係を見なければ、
本当に得なのか分からない

 海外で生活していると、日本にいては感じられないことに遭遇します。例えばインフレです。

 ベトナムの2011年の消費者物価指数は18.58%です。このとき、定期預金で14%の金利がついても、18%強のインフレでは、単純に考えて、お金をただ預けていたら4%価値が目減りしてしまいます。

 2011年のベトナムのインフレは極端ですが、新興国では急激なインフレが進行することがあります。単純に金利が高いからと言うだけで、飛びついてはいけません。

 ベトナムのインフレはどんな感じだと思いますか。私がインフレを実感するのは、ビールのつまみのうずらの卵を買うときです。ここ3年で、次のように値段が推移しました。

  8個5000ドン→6個5000ドン→10個1万ドン→8個1万ドン

 最近では、少しインフレが落ち着いたので、10個1万ドンに戻りましたが、それはともかく、数年のうちに卵の値段が倍になるようなインフレが日本に住んでいる方に伝わるでしょうか。

 さらに、「インフレがものすごいから、現地で働く人は大変だ。でも日本円で考えると、インフレの分、ドンの下落も急激だから、自分の生活はあまり変わらない」と説明して、状況がピンと来るかどうか。

 実際は相手によって反応はまちまちで、それは金融リテラシーの差とも言えるのではないでしょうか。