数多くの企業で管理職にコーチング研修を行ってきた林健太郎氏が、新著『できる上司は会話が9割』を上梓。同書からの抜粋で、メンバーの能力を高め、困った部下も戦力に変えるコーチングのスゴ技を紹介する。最終回となる今回は、元同僚が自分の部下になったとき、あなたが行うべきコミュニケーションの取り方について。
元同僚の部下は
上司の自分をどう思っているか
今までの同僚が自分の部下になる。
いわゆる年功序列がどんどん崩れていることもあって、こうしたケースはこれからも増えていくことでしょう。元同僚たちとはこれまで、一緒になって前の上司への文句をさんざん言っていたかもしれません。例えば「〇〇さんて、こういうところ、気が利かないよな」「上司ってこういう役割なのにさ、〇〇さんには欠けているよね」……などなど。ところが、今度は自分がその「上司」の立場となり、元同僚たちは「部下」になるのです。
すると、「自分も、あんなふうに批判されたりするのかな。そうならないためには、どうしたらいいんだろう?」と、ついつい自分にベクトルが向いてしまいがちです。しかし、こんな状況だからこそ、ベクトルは「自分」ではなく、「相手」(つまり、元同僚の部下たち)に向けるべきです。
その理由は、あなたがこの状況に対して「困ったな……」などといった感情を抱いているのと同じように、元同僚である「部下」たちもそれぞれに、同僚だったあなたが上司になったことに対して何らかの感情を抱いていると思われるからです。