マーケットフォーカスPhoto:PIXTA

日経平均株価は3万円台を回復し、コロナ前の水準を超えた。株価を業績予想と投資家の期待値であるPER(株価収益率)に分解すると、コロナ前を上回っての上昇分は、PERの上昇で説明できる。2022年3月期の業績の伸びは高く、投資家の期待を裏付けるといえるが、23年3月期には大幅に鈍化する。期待値であるPERは低下するだろう。(UBS証券ウェルス・マネジメント本部ジャパンエクイティリサーチヘッド 居林 通)

株価を業績予想と
投資家の期待に分解する

 株式投資の難しい点は、株価の決定要因がいくつもあることよりも、その要因の重要度が刻々と変化していくことであろう。つまり、市場が何を重視するのかによって投資家は違う眼鏡を掛けて株価を見る必要がある。

 例えば、昨年のコロナ禍の初期には巣ごもり需要やリモートワーク需要銘柄が脚光を浴びた。しかし秋になってワクチン開発が現実味を帯びると逆にコロナ後に回復する銘柄に投資家の関心が移り、足元の業績よりも2021年の業績回復度合いが高い銘柄が選好されるようになった。

 それでは、最新ニュースで投資家が反応しそうなところに投資する手法が良いのだろうか。そのような投資手法も当然考えられる。テーマ投資もその一例であろう。

 しかし、ここではもう少し投資家としてのバックボーンになるようなフレームワークを組み立ててみたい。筆者は株価分析と業績予測を自分で行っているが、外部データでも構わない。

 まずは、株価=業績予想×予想PER(株価収益率)という関係を利用して、コロナ前から見た株価変化を業績予想の変化と、投資家の期待値を表すPERの変化に分解した。これを観察すると株式市場が今どの眼鏡を掛けているのかを理解する大きなヒントが得られると筆者は考えている。

 昨年来の日経平均で以下の時点1~4でその違いを見てみたい(下図参照)。