3月に発売された新刊『会計の地図』が好調だ。発売5日で1万部を超える重版が決まり、とりわけ「これまで会計の入門書に挫折してしまった人」から「もっと早く読みたかった」という声がたくさん集まっている。本記事では、そもそも会計がわかりにくい根本的な理由と、それに対する本書の解決策を、簡潔に紹介する。(構成/編集部・今野良介)
会計がわかりにくい2つの理由
会計は、なんでこんなにわかりにくいのか。おそらく、2つのポイントがある。
1つは「単語」のわかりにくさ。
もう1つは「関係」のわかりにくさだ。
会計用語は意味不明な単語だらけだ。「税引前当期純利益」とか「固定長期適合率」とか言われると、もう呪文のように聞こえる。慣れてる人にはいいだろうけども、初学者にとっては難しそうな上に、概念をイメージしにくい。
さらに、単語の意味がわかったとしても、単語と単語の関係がわかりにくい。たとえば、「利益」は「売上」と「費用」の引き算で求められる。利益は、売上と費用で成り立つ概念なわけだけど、「売上」と「費用」と「利益」は、それぞれ独立した概念だと思ってしまいやすい。
会計にまつわる言葉は、つながりがあり、そのつながり自体にも意味がある。全部の単語を平坦に捉えてしまうと、全体像が見えにくくなってしまうのだ。
たった1つの図で、「会計の大切な部分」がわかる
そんな二重の難しさを持つ会計を、たった1つの図を使うことで可視化しようという試みが、僕が「会計の地図」と呼ぶツールである。
この書き方自体は特段あたらしい方法ではなく、損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)をくっつけた図である。でも、会計について、この図を使って徹底的に説明している本は、ほとんど見当たらない。
とにかく、同じフォーマットで説明していくことにこだわった。
同じフォーマットならば「比較」できる。
比較できると、単語同士の関係をつかみながら、理解を深めることにつながる。
「会計の本なんて読んだことないし、不安しかない」というあなた。
「これまで何冊も会計の入門書を読んできたけど、結局挫折した」というあなた。
安心してほしい。『会計の地図』は、一つひとつ読んでいけば、自然と全体像がわかるような構成にした。もう誰も会計で挫折させないつもりで書いた。「これなら理解できそう」という体験が、きっとあるはずだ。
ただ、説明する中で、多少は細かな説明もある。「こんな細かいことまで理解しなきゃいけないの」と思ったら、その部分は無視してもいい。大事なのは、会計の全体像を俯瞰することができる力を養うことだ。最後までたどり着いて、もう一度おさらいしたくなったら、その部分を読めばいい。
ここまで読んでもなお、「そうはいっても不安がつきないよ」という人のために、この本を完読するためのアイテムを用意した。
RPGの最初で王様が勇者に与える系の、重要なアイテムだ。
次の図を見てほしい。
この白くて図形がたくさん書いてあるものは、「全体の地図」だ。僕の言いたいことは、すべてこの図に詰まっている。
本書では、会計にまつわる単語を1つずつ説明していく。何も書かれていない白地図が、本を読み進めるにつれて、1つずつ中身が埋まっていく。最後までたどり着き、すべての単語の説明が終わると、地図が全部埋まる構成になっている。
先に結論から言うと、すべてが埋まった全体の地図は、こうなる。
「売上」から始まって、会計の重要な概念をとり上げながら、最後「のれん」に行き着く。そういう構成になっている。
本の中で迷いそうになったとき、「今、何の話をされているのか?」を見失ってしまいそうになったときは、各所に散りばめたこの地図を見て、現在地を確認しながら読み進めてほしい。
会計は「わたし」と「社会」とつなぐもの
本書は、3つのパートに分かれている。
パート1のテーマは「会社のお金の流れ」だ。
つまり、「自分は会社にどう貢献しているか?」を説明していく。
パート2のテーマは「会社の価値」だ。
つまり、「会社は社会から何を求めれているか?」を説明していく。
そしてパート3のテーマは「社会と会計のつながり」だ。
パート1とパート2の内容を踏まえて、「社会はどう変化しつつあり、これから先、一人ひとりのビジネスパーソンは社会から何を求められるか?」という話を、会計というレンズを通して見ていく。
本書を通じて、「会計」という世界のおもしろさを体感してほしい。
そのために、頭の中に「会計の地図」を携えてほしい。
地図は、現在地がわかる。
地図は、目的地にたどりつける。
地図は、自分を冒険に向かわせる。
会計という広くて豊かな世界を歩き回る最初のツールとして、本書を活用していただければ幸いである。