●個々の従業員が抱える事情・ニーズを正しく把握する
従業員が「テレワークを選びたい」「働き方の自由度を高めたい」と希望する背景には、さまざまな事情や悩みがあります。子どもが疾病を持っていて頻繁に通院しなければならない人、高齢の親を介護している人、趣味や勉強の時間を確保したい人――それぞれの事情や悩みを抱える人にとって、どんな働き方がもっともパフォーマンスを上げやすいか、譲れない条件は何なのかをヒアリングして把握する必要があります。
●フィジビリティ・スタディを経て制度化する
最初からかっちりとした制度を確立するのではなく、一部組織でのフィジビリティ・スタディ(制度の実現可能性を事前に調査・検討すること)から始めることをお勧めします。インフラを整えるだけでなく、情報の管理や共有のルールを決めて運用してみる。すると、問題点がどこにあるのか――ハード面なのか、コミュニケーションツールなのか、意思決定者の判断基準やタイミングなのか――などが見えてきます。実際にテレワークを試した人の声から課題を収集し、それをもとに制度を作り上げていくと、導入後の運用がスムーズに運ぶでしょう。
●裁量権を付与する
コロナ禍の緊急事態宣言中にテレワークを経験した人へのアンケートによると、「自己の判断で自由にテレワークできるようになった」人は満足度が高く、「会社の基準で出勤割合が決まった」人は満足度がやや低めでした。つまり、働く人々はテレワーク制度の使い方を会社から指示されるのではなく「自分で決めたい」のです。制度の使い方について裁量権を付与することが、エンゲージメント向上効果につながるようです。
株式会社リクルートキャリア(現株式会社リクルート) 2020年9月プレスリリースより
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●チームの小規模化で、連携・コミュニケーションを維持
テレワーク中心の生活になると、「孤立感」を抱く人も多く見られます。アンケートによると、テレワークにより「チームの仕事が減った」と感じている人は、テレワーク実施前より「モチベーションが低くなった」と回答しています。
また、テレワーク実施前より実施後のほうが、「仕事の全体観の把握」「仕事の重要性の実感」「上司や同僚からのフィードバック」が低下している実情が見てとれます。
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テレワーク環境でもチームの連携を活性化させ、孤立感を抱かせないためには、チームを細分化し、スモールサイズのチームを編成するのが効果的です。