テレワーク先進企業では
「居住地」「テレワーク回数」の制限を撤廃
テレワークの実施状況に関しては、企業によって大きな差が見られます。では、先進的な企業ではどんな制度を導入しているのでしょうか。
JTBでは「ふるさとワーク制度」を導入(2020年10月施行)。これは居住登録地でテレワークをベースに働ける制度。単身赴任を回避し、家族と過ごす時間や地域とのつながりを守るものです。また、一律週5日勤務ではなく、社員の希望に応じて5つのパターンから年間勤務日数を選択できる「勤務日数短縮制度」も、2021年4月から施行されます。
一方、ヤフーでは、2020年10月、リモートワークの回数制限を解除したほか、フレックスタイム制のコアタイムを廃止しました。
2社にインタビューを行って気付いたのは、自由な働き方を認める制度導入の目的が、従業員の“ライフ”志向の支援、エンゲージメント向上だけにとどまらないことです。
ツーリズム(テーマを持った旅や観光)を提供するJTBでは、従業員一人ひとりが自分の生き方に向き合って働き方を選択することにより、顧客に実感いただける新たな価値の提供、サービスの向上につながると考えています。
ヤフーは、働きやすさの向上と合わせ、副業人材など多様な人材を活用することで、サービスを進化させる「オープンイノベーション」を目指しています。
テレワークをはじめ、働き方の自由度を高めることは、従業員のワークライフバランスの向上だけでなく、サービスの向上や生産性アップにつながる。ひいては、会社の成長につながるものと考えられているのです。
テレワーク制度を効果的に
運用するための6つのポイント
テレワークを企業全体で導入するためには、どのような点に注意しながら進めていけばいいのでしょうか。成功している企業に見られる6つのポイントを紹介します。
●目的を明確に掲げる
まずは、「何のためにテレワークをやるのか」を明確にすることです。従業員が働きやすくなった先には、「生産性を上げる」「顧客サービスを向上させる」など、企業それぞれ目指す姿があると思います。最終目的を設計してから着手することが重要です。