齊藤由紀子(さいとう・ゆきこ)
学校法人桜蔭学園理事長、桜蔭中学校高等学校校長
学校法人桜蔭学園理事長、桜蔭中学校高等学校校長。27回生。お茶の水女子大学文教育学部文学科国文学国語学専攻、同大学院人文科学研究科日本文学専攻修士課程修了。専攻は近世文学。母校に国語科教師として赴任し、2017年から現職。
遠目にも分かる桜蔭の制服
東京の私立中高一貫女子御三家は、女子学院がプロテスタント、雙葉がカトリックとミッション系なのに対して、桜蔭は非宗教系である。強いて言えば、高等師範学校の文化が色濃く残る“教職系”が伝統なのかもしれない。
――女子学院は制服をやめて服装は自由になり、雙葉はセーラー服ですね。桜蔭はいまでは珍しくなったジャンパースカートの制服を維持していますが。
齊藤 現在の制服は戦後定められたもので、いくつかのデザインの中から生徒が選んだものです。旧制服にはなかった上着(ブレザー)も付けたいと希望があったそうです。昔のものはローウエストで、襞(ひだ)が後ろだけにあり前にはないという変わったものでしたが、当時としてはモダンなものでした。着づらいということで、いまのような形になりました。
生徒会で「制服をなしにする」という議論は何度か起きていますが、「制服がなくなると(服を選ぶのが)面倒くさい」ということで、そのままになっています。
――ところで、2024年には創立100周年を迎えますが、何かお考えですか。
齊藤 東館を建て替えます。校地の狭い小さな学校ですから、2号館、3号館、4号館、5号館(1970年)、西館(2003年)、別館(2004年/講堂)と、これまでも少しずつ校舎を建ててきました。
新しい校舎は、東館(5号館を改称)の一部を取り壊して造ります。この夏の終わりから取り壊し工事が始まり、約2年半、99周年となる2023年冬くらいに竣工する予定です
――100周年の前年に完成するわけですね。どのような施設になりますか。
齊藤 新しい校舎では、縦長のフロアに一列に教室が並ぶように考えています。化学や物理の教室なども同じフロアにまとめようと考えています。その他にも、フロアごとに生徒が集まることができるコミュニティースペースも設けます。体育館や温水プールも使いやすく生まれ変わります。
東館には現在、屋内温水プールがありますが、しばらく使えなくなります。その間は授業やクラブ活動で不自由をかけることになります。