「シンプルに結果で評価する」「ルールを作り、守らせる」など、現代のマネジメントとは一線を画す手法が話題となり、14万部の大ヒットを記録している『リーダーの仮面』。
その元となっているのは『識学(しきがく)』という意思構造学の理論。
識学の理論では、リーダーがメンバーを仲良くなることを否定し、距離を置くことを推奨します。
「リーダーは孤独であれ」
そのメッセージに込められた本質を、『リーダーの仮面』の著者であり、株式会社識学の社長でもある安藤広大さんに聞いた。(取材・構成/イイダテツヤ、撮影/疋田千里)

部下も上司も「友だち」ではない

――『リーダーの仮面』で述べられているマネジメントは非常にシンプルで、説得力があり、個人としても、組織としてもとても効果的だと感じます。

 その一方で「このやり方を実践するのはむずかしいだろうな」と感じる人や組織があるのも想像がつきます。

 識学のマネジメント法を実践するにあたり「こういう人はなかなかうまくいかない」というパターンはありますか?

安藤広大(以下、安藤):経営者のなかにもたまにいるんですが、従業員と「仲良くなりたい」「人間同士につきあいをしたい」と思っている人は、むずかしいですね

 要は、友だちグループのリーダーみたいな形でマネジメントをしている、あるいは、していきたいと思っている人です。

――たしかに、安藤さんは『リーダーの仮面』のなかで「部下とは迷わず距離をとれ」「孤独を感じるのがリーダーの条件」という話をされていますね。

安藤:そうなんです。そもそも会社は目標を達成するために集まっている機能なので、いわゆる仲間とか、友だち関係とは違います。

 ただ、なかには「そこが一番好き」というか、部下と仲良くするのが好きだったり、一緒に飲みに行くのが楽しい、という人はいます。

――そういうタイプの人に、安藤さんは何と伝えますか?

安藤:たとえば、社長が「従業員と仲良くなりたい」と思っていることで起こるエラーがあります。みんなの顔色をうかがってなかなか思い切った意思決定ができないような例です。そのエラーを事実として伝えますね。

 社長でも、部長でも同じですが、「仲良くなりたい」「嫌われたくない」という思いが、業績を高めるための行為の邪魔になっていることはよくあります。

 そのエラーをきちんと調べて、「こういう問題が起こっています」と事実を伝えます。

 もちろん、会社によっては「どうしても、社員と飲みに行きたい」という社長もいます。

 しかし、仲良くすることには、メリットと同時にリスクも生まれます。その事実は知っておかないといけないでしょうね。