日本代表がいよいよ再始動
――先日、日本代表候補選手も発表されました。注目している選手はいますか?
廣瀬 いまはサントリーの調子がいいので、サントリーの選手が多く選ばれるんじゃないかなと思います。サントリーはボールがどんどん動くラグビーをやっていますから。
フッカーの中村駿太も面白い選手ですね。NTTコム戦では3トライとったのかな。バックローとナンバー8はテビタ・タタフ選手とか、神戸のナエアタ ルイ選手とか、入ってくるだろうなと思っていた選手が入ってきてくれました。ナキ(アマナキ・レレイ・マフィ選手)もいるし、マイケル(リーチ マイケル選手)もいるし、姫野もラピースもいるので3列は大変だけど、面白そうやなって思います。
あとは東芝からジョネ・ナイカブラっていう選手が入りました。彼は本当に才能があって、スピードもめちゃくちゃある選手なんで、どこかで入るかなとは思ってたんですが、嬉しいですね。コンディション不良で入ってないのかなっていう選手も何人かいましたね。
――2023年のワールドカップに向けて万全の体制でのスタートとなりそうですか?
廣瀬 海外では今年、シックス・ネイションズをやってるんです。日本代表はすでに1年半ぐらい活動できてない状態なので、むしろマイナスからのスタートで、ここから頑張らないといけない状況かなとは思います。ただ選手たちのロイヤリティとかモチベーションは19年の勝利もあってさらに高まっていて、もっと活躍したいとか、もっと出たいっていう気持ちがあると思うので、すごく楽しみです。
アスリートと社会を結ぶ活動
――廣瀬さんの現在のご活動についてもお聞かせください。
廣瀬 SDGsやサステナブルって言葉がよく話題にのぼりますが、考えてみれば、ガーナに行ってラグビーボールを配るとか、フェアトレードをサポートするとか、そういったことをこれまでもずっとやってきたんです。
だからこれからもアスリート×地域で社会課題をどう解決していくか、といったことをやっていきたいと思っています。チームフェアプレーって名前をつけて活動を始めたんですけど、いろんなアスリートの方に入っていただいて、地域や社会の課題を解決していくプラットフォームになっていけたらいいですね。
あと僕はいま、湘南エリアに住んでいるので、やはり地域や社会課題の解決みたいな側面もあるのですが、いろんなスポーツを体験できるような場を作ったり、リーダーシップ育成や教育にも興味があるので、子どもたちのキャプテン教育だったり、アスリートのセカンドキャリアやデュアルキャリアに対するサポートも進めています。
――いろいろな活動をされている中で感じている課題はありますか?
廣瀬 僕たちみたいなスタートアップに足りていないことは、2つあると思っています。1つ目は広報やメディア戦略。たとえばどのSNSを、どう使っていけば、伝えるべき人に伝えたい情報が伝わるのか。いまはいろんなツールがありますが、どのメディアを使えばいいのか、どのメディアとタッグを組んでいくのがいいのか、といったことができていない。
2つ目は、いろんな企画やアイデアは出てくるんですが、それを実際に形にして、クライアントや、自治体、行政に対してクロージングまで持っていく実行部隊が弱いんです。本当はここにもうちょっとお金を投資しないといけないとは思うんですけど、コロナ禍もあって正社員としてきていただくことが難しかったり、実際に対面でお会いできないとか、ちょっとジレンマっていうか、悩ましく感じているところがあります。
――ラグビーの監督やコーチをやるご予定は?
廣瀬 ここ5年はないんじゃないかなと思います。たとえば、ラグビーの試合はコンテンツとしてもうすでにめちゃくちゃ面白いんですけども、試合以外のところを充実させることがファンの方にスタジアムに来ていただくことにつながっていくと思ったので、僕はスクラム・ユニゾン っていう国歌を歌っておもてなしをしようという取り組みをワールドカップでやったんです。
そういう課題解決の方法をやっている方がこれまであまりいなかったので、僕はそっちの方からまわりを固めて、その舞台が整ったときにもしかしたら本丸、みたいなことはあるかもしれません。それでも監督をやるっていうよりも、どちらかというとマネジメント側かもしれないですね。キャプテンのサポート、キャプテンのコーチには興味があります。
――最後に『エディー・ジョーンズ わが人生とラグビー』は廣瀬さんにとってどんな本ですか?
廣瀬 エディーさんには大変お世話になりましたし、すごく尊敬してる方でもあります。本にはなまなましい部分もあるんですけど、読むとたくさんの学びと気づきがあるんじゃないかと思います。まずは本屋に行っていただいて、この表紙のビジュアルを楽しんでいただけたら(笑)。エディーさんがまだまだチャレンジし続けているっていうことに本当に勇気をもらえますし、悔しかったり、嫌やなと思ったことを受け止めて、頑張り続けているところは本当に格好いいと思います。僕自身も彼に負けないようにというか、彼にちょっとでも追いつけるように頑張ろうっていう、そんな気持ちになったので、また頑張っていきたいなと思っています。