話題沸騰のエディー・ジョーンズ初の自叙伝『エディー・ジョーンズ わが人生とラグビー』をテーマにした廣瀬俊朗さんのインタビュー後編(前編はこちら)。エディーさんの存在、尊敬される理由、そしてこれからのことを聞いた。

廣瀬俊朗がエディー・ジョーンズから学んだ「チャレンジし続けるから、結果が出る」取材はオンラインで行われ、Clubhouseで同時配信された

エディー・ジョーンズという存在の大きさ

――本を読んで、エディーさんについての新しい発見はありましたか?

廣瀬俊朗(以下、廣瀬) 言い過ぎたなと思ってはるねんやなって。またやってしまった、悪い癖が出たみたいに書いてるんですけど、あ~そんなふうに思ってはったんやなって。孤高な人に見えますけど、助言やサポートに支えられて、そしてまた高みに向かっていくんだと思いました。

――廣瀬さんにとってエディーさんはどんな存在ですか?

廣瀬俊朗がエディー・ジョーンズから学んだ「チャレンジし続けるから、結果が出る」廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)
元ラグビー日本代表キャプテン。株式会社HiRAKU代表取締役、ラグビーワールドカップ2019公式アンバサダー。1981年、大阪府生まれ。大阪府立北野高校卒業後、慶應義塾大学理工学部に入学。高校日本代表、U19日本代表を歴任。その後、東芝ブレイブルーパスに入団。2007年に日本代表選手に選出され、12年から13年までキャプテンを務める。ポジションはスタンドオフ、ウイング。16年より大前研一氏が学長を務める通学不要・100%オンラインで経営管理修士(MBA)を取得できる日本初の経営大学院として04年11月に文部科学省より専門職大学院の設置認可を受けた「ビジネス・ブレークスルー大学大学院」で経営を学び、経営管理修士(MBA)を取得。その後「ビジネス・ブレークスルー アスリートアンバサダー」に就任。2020年10月より日本テレビ系ニュース番組『news zero』に木曜パートナーとして出演中。近著に『ラグビー知的観戦のすすめ』(角川新書)など

廣瀬 この本を読んであらためて、やっぱりずっとチャレンジし続けないといけないな、と思いました。「そこはもうダメだろう」ってやるまえから諦めてしまって、手をつけずにいることが多々あるように思えて、それじゃダメなんだろうなって。理想の姿を自分の中にちゃんと描いていたい。エディーさんと接しているとそういう気持ちになって、背筋が伸びる気がするんです。

 エディーさんはイングランド代表の監督になっても、ずっとチャレンジし続けている。彼が人々から尊敬されているのは、いつも挑戦し続けていて、その姿勢が結果的に、「強いチーム」っていう成果を生んでいるからなんだと思います。

 普通に考えれば、コーチとしては十分に大きな成功をつかんでいる方なので、次世代育成みたいなステージにいってもおかしくないのに、いまだに自分自身の成長を求めている。その一方で、ワールドカップ決勝戦の前日に高校生にラグビーを教えに行ったり、グラスルーツを大事にするところもある。そういう人肌が感じられるところが素敵だなと思いますね。

日本とは深い縁でつながっている

――エディーさんはご自身のルーツについての思いも本で明らかにしています。オーストラリアの軍人だったお父さんと日系アメリカ人のお母さんの出会いは日本でした。エディーさんから日本に対する特別な思い入れみたいなものを感じたことはありましたか?

廣瀬 サントリーサンゴリアスでコーチをしているときに、まだ契約期間中だったにもかかわらず、ブランビーズからのオファーを許してくれた恩からチームとの交流がいまも続いていたり、インターナショナルなチームのヘッドコーチというチャンスを日本代表で手にし、南アフリカに勝ったという実績からさらにまた新しい道が開けたということもあるので、日本ラグビーに対する思いはとても大きいんじゃないかなと思います。

 もしかしたら、どんな形かはわかりませんけど、日本ラグビーに携わり続けてくれるんじゃないかなっていう気はします。

トップリーグは来年、新体制へ

――サントリーサンゴリアスとエディーさんとの交流についての話が出ましたが、トップリーグについてのお話も聞かせてください。特に注目しているチームはありますか?

廣瀬 サントリーには注目しています。クボタも強くなってる印象があります。リーグが始まってみれば、ドコモがめちゃくちゃすごい。旋風を巻き起こすところまで行くとはちょっと思ってなかったですね。

――トップリーグは来年から新体制に移行します。新リーグへの期待は?

廣瀬 正直申し上げまして、何がどう変わっていくのかは、選手にはまだ実感できてないところがあると思います。所属先が変わるわけでもないですし、練習や試合に対する取り組み方が変わるわけではない。どんなふうになっていくのかについては、選手も探っている状態じゃないかな。

 とはいえ、地域に対する取り組みとか、ラグビーアカデミー、グッズ販売やファンクラブとか、そういったことへの関わり方は、これまでよりも増えていくと思います。