『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏が「著者の知識が圧倒的」、独立研究者の山口周氏も「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「猫町倶楽部」の読書会で出た質問を元に、加筆・修正しています。猫町倶楽部はこちら
[質問]
『独学大全』の技法55「メタノート」の部分で「メタレベルから眺める必要性」について述べられています。読書猿さんがこの《メタレベルから眺める》を実践する際、意識的に行っていること、留意点がもしあれば教えてください。
頭の中で反省せず、なんでもいいから書く
[読書猿の回答]
あえて付け加えるとすれば、まず書くことです。メタノートが必要になる時というのは、ひとつは学習が行き詰まったり、うまく行かないと感じて、頭の中でいろいろ考えてしまう場合ですね。
だからこそ、意識して、書くことに立ち戻る必要がある。
意識しないと、頭の中だけで大反省会を開催することになる。「ああ、いかんいかん。メタノートを書かなくては」と思い出すことが大切です。
そんな時は、頭の中だけで考えずに、まず頭に浮かぶものを全部書き出すことに専念する。そうして一旦自分の外に出したものを読み返す。書き出したからこそ、独学を通じて鍛えてきた〈読み書き能力〉を、人文知の力を、自分に対して発揮できる。これがメタノートという名前の由来であり、この技法の肝です。
『独学大全』は書くことに始まり書くことで終わる、独学者自身について人文知を適用することで支える書物です。
書き言葉は、人類がわずか数千年前に獲得した〈外部足場〉ですが、この数千年を、認知的にも物理的にも、我々の先祖が過ごしたそれまでの数百万年とはまるで違ったものにした大発明です。人文学者は、この力こそ、我々を人間にする力であると考えました。
未だ人ならざる者として読書猿もまた、この力を信じ、依拠します。