メガバンク看板Photo:Diamond

コースを一度外れたらおしまい。配偶者を交えた面談で、生活水準を下げるよう指導される…。高給取りだが、ノルマに追われ、堅苦しい…。テレビドラマ「半沢直樹」でも描かれたように、銀行員の出世と左遷を巡る人事の仕組みは、大変に厳しく悲哀が漂います。詳細を解説しましょう。(沼津信用金庫参与 佐々木城夛)

「今のうちに飲もう」の誘いが“収束”
出世の階段、上れる人は一部だけ

 私は今年の8月で54歳になります。3~4年前の一時期、大手メガバンク等に就職した高校、大学の同級生や、学年が近かった先輩、後輩から「経費で飲めるのは今のうちだけだから、飲みに行こう」「俺も、もうそろそろ最後だから」などと言われ、頻繁に会食に誘われたものです。

 こうした誘いは、新型コロナウイルスの感染拡大で会食ができなくなってからではなく、その前にぱったりと“収束”。その理由は、同級生たちが、銀行の役職定年前の「退職勧奨該当年齢」になって銀行を去る直前に「経費で飲めるから」と誘われ、辞めた後は経費が使えなくなったので、誘いもなくなったということでしょう。経費で飲むことの是非はともかく、こうした人生の来し方もまた、銀行の人事を巡る悲哀の一つのように思います。

 銀行は、昨年の第2弾もまた人気を博したテレビドラマ「半沢直樹」で描かれたように、出世や左遷がとても分かりやすい業種です。人事制度それ自体も非常に古く、下図のように“階段式”となっています。

 銀行の人事制度は典型的な「職能資格制度」であり、該当する級に属する候補者から、ポストに就かせる者を選択する方式です。