息子と親を巡る都合に左右された
石原新党立ち上げのタイミング

 石原慎太郎氏が、突然都知事を辞任した。新党を結成して、国政にチャレンジするということらしい。

 石原氏を中心とする新党の旗揚げは、これまでに何度も話題になってきたが、本人がなかなか煮え切らなかった。

 石原氏の「仕掛け」が今になったことに関しては、同氏の長男である石原伸晃氏を巡る事情が大きかったのだろう。しかし、周知のように、安倍晋三氏が新しい自民党総裁になった。

 一時は本命視されながらも、自らの失言などで評価を落として敗れ去った石原伸晃氏には、少なくとも今後しばらくの間、再びチャンスが巡ってくる可能性はないだろう。

 なかなかに子煩悩であるらしい石原慎太郎氏の国政への転身表明が「今」の時期になった背景には、どうしても、息子の都合が見えてしまう。この点に関しては、石原氏を中心とする新党に期待を持って、結果的にあまり有効でないタイミングで政権と国民新党を離れた亀井静香氏などは、相当に腹を立てているようだ。

 亀井氏に限らず、当時「石原新党」を期待して走り出した人々は、石原慎太郎氏が腰を上げないことで、少なからず辛い思いをしたことだろう。

 では、今は、タイミングとしてどうなのか。

 民主党でも自民党でもない「第三極」の立ち上げ時期としては、橋下徹氏が率いる日本維新の会への国民の支持にひと頃の勢いがない今の時期よりも、もう少し前のタイミングで維新の会との本格的な連携を打ち出して名乗りを上げた方が、インパクトがあっただろう。

 今となっては、日本維新の会も、今後形を表すはずの「石原新党」も、国民にとって魅力的で政治的な実力を伴った十分な数の「候補者」を立てられそうにない事情が、多くの国民に見えてきた。人気や「風」だけで、短期間に良質な候補者を集めることは難しい。