カリスマor凡人?
自分自身を正しく見極める

私は、後者の「協働・合意形成型リーダー」だと考えます。

しかし、カリスマに憧れてその経営手法をロールモデルとして意識するあまり、自分の資質に見合わない「支配型」のトップダウン的なリーダーシップを取って失敗するというケースが少なくありません。

リーダーシップの選択を間違えないために必要なものとは何か。それは「自分自身を正しく見極めること」に尽きます。

自分には組織を率いる力や才能がどこまであるのか――。

自分の資質や能力、立場を自覚すること、それもまたリーダーに不可欠な謙虚さなのです。

・自分が凡人なら、背伸びも卑下もせず、その凡庸さを自覚する
・社外から着任したのなら、自分は“よそ者”なのだと自覚する
・そして、その“よそ者”が会社の命運を握っていることも自覚する

こうした自覚があれば、縁も所縁(ゆかり)もなかった会社の社長を任されても、背負う覚悟と責任感はより地に足がついた強固なものになるはずです。

たとえ自分の力量のなさを自覚したとしても、なんら失望することはありません。カリスマでなくても会社の舵取りはできます。

凡人を自覚しながら着任した完全アウェーの会社で、大きな信頼と成功を勝ち得た社長も大勢います。ワンチームとなった会社がベクトルを揃えて動き出し、従業員たちの共感が最高に高まったときには、想像以上の成果を生み出すこともあります。

周囲があっと驚くような派手な采配を振るだけが「経営手腕」ではありません。

凡人には凡人に、“よそ者”には“よそ者”が選択すべきリーダーシップがあります。カリスマではないからこそできる経営スタイルがあるのです。

※「よそ者リーダーとはどんな人か」「よそ者リーダーが身につけたい3つの心構えやマネジメントとは何か」については、本連載の第1回も併せてご覧いただければと思います。

次回は、よそ者リーダーに求められる「自身の意識改革」についてお伝えします)