ある日突然、異動や転職などでリーダーを任された。
配属先は慣れ親しんだ場所ではなく、
すでに人間関係や風土、文化ができ上がっている
“アウェー”のコミュニティ(会社組織)。
右も左も分からない中、
「外から来た“よそ者”」の立場で、
いきなりリーダーを任されるケースも
少なくありません。
また、多数のエンジニアを率いる非エンジニアの
リーダーなど、自分の専門外の領域でチームを
まとめなければならない
「門外漢のリーダー」も増えています。
今の時代、「よそ者リーダー」がリーダーの
大半であるといっても過言ではありません。
そこで、新規事業立上げ、企業再生、事業承継の
中継ぎetc.10社の経営に関わった
『「よそ者リーダー」の教科書』の著者・吉野哲氏が
「よそ者」こそ身につけたい
マネジメントや組織運営のコツについて伝授します。
今回は、リーダーを任された「普通の人」のための
リーダーシップについてお伝えします。
(構成/柳沢敬法、ダイヤモンド社・和田史子)

『「よそ者リーダー」の教科書』著者の吉野哲氏による、「普通の人」のリーダーシップとはPhoto: Adobe Stock

組織を支配するのではなく
「ワンチーム」をつくる

会社経営における社長のリーダーシップのあり方には、大きく分けて2つのスタイルがあると考えます。

ひとつは、「支配型」のリーダー

社長の強力な意思と才覚のもと、社長自身が先頭に立って部下を管理し、強い指示や命令で会社を動かしていくスタイルで、カリスマ型のリーダーシップと言えるでしょう。社長はピラミッドに見立てた会社の頂点に君臨し、上意下達に近い指示系統によって会社を引っ張っていきます。

カリスマではない「普通のリーダー」がとるべきリーダーシップとは書籍『「よそ者リーダー」の教科書』p60より引用

もうひとつが、「協働・合意形成型」リーダーです。

これは平たく言えば、「私がまとめるから、みんなで力を合わせてがんばりましょう」というスタイル。トップダウンで支配するのではなく、「個々の従業員の自主性や個性を尊重し、力を最大限に引き出して集結し、ワンチームをつくる」ことで会社を動かしていくリーダーシップになります。

社長の立ち位置は「大きな円の中心」だと考えればわかりやすいと思います。

これら2つのスタイルに優劣の差はありません

社長となる人の資質や個性によって選択すべき経営スタイルが違うということ。

では、天才的なカリスマ性を持たず、しかも社外から来た“よそ者”というハンディキャップを抱えた社長が目指すべきリーダーシップはどちらでしょうか。