総合商社の業績が堅調だ。2021年3月期に業界トップに躍り出た伊藤忠商事は3年以内に商社史上初の連結純利益6000億円をうかがう勢いで、三菱商事などライバル各社も22年3月期に大幅増益を見込む。だが、足元では脱炭素、人権、米中対立、資源依存、DX、人材流出、次の稼ぎ頭不在の7大リスクがくすぶる。今こそ「非常事態宣言」を発令し、変われない商社に未来はない。5月31日(月)から6月8日(火)までの全15回特集『商社 非常事態宣言』で、就職人気ナンバーワンの商社の裏側で起きている地殻変動を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 重石岳史、田上貴大)
#1 5月31日(月)
【スクープ完全版】伊藤忠が石炭火力発電から完全撤退へ、商社が飲み込まれる脱炭素の激流
伊藤忠商事がインドネシアで建設中の石炭火力発電所について、運転開始後に売却する方針を固めたことが分かった。世界的な脱炭素の激流にのまれ、商社が石炭ビジネスから続々と撤退しているが、伊藤忠はさらに踏み込んで業界初の石炭火力ゼロを目指す。一方、その他の商社は新規の石炭火力プロジェクトを着々と進めており、商社の脱炭素方針は「グリーン・ウォッシュ」(見せ掛けの環境保護)との批判も上がっている。
#2 5月31日(月)
伊藤忠・岡藤会長に直撃、「米中対立はリスク?」に対する予想外の返答
米中対立の激化が商社に暗い影を落としている。各社首脳が先行き懸念を表明する中、最も中国ビジネスに強い伊藤忠商事は何を考えているのか。国有企業への6000億円投資など中国シフトを主導した岡藤正広会長CEOを直撃したところ、予想外の答えが返ってきた。
#3 6月1日(火)配信
三菱商事・次期社長の「本命」浮上、伊藤忠・電撃トップ交代の真相…商社人事の裏側
2022年の三菱商事社長交代が濃厚だ。垣内威彦社長の後継「本命」と「対抗」、そして「大穴」は誰か。最終盤に突入する次期社長レースの行方を予想すると同時に、今年1月に突如社長交代が発表された伊藤忠サプライズ人事の真相を探った。
#4 6月1日(火)配信
三井物産、鉄鉱石高騰で大もうけも堀社長が「脱資源」を唱える理由
鉄鉱石価格高騰の追い風を受け、業界2位に位置する三井物産(2021年3月期純利益3355億円)。“資源商社”の面目躍如の形だが、4月に着任した堀健一社長は、資源に頼らないビジネスモデルの構築を掲げる。その真意を聞いた。
#5 6月2日(水)配信
商社102社「コロナ耐久力」ランキング!4位丸紅、3位神戸物産…100位に沈んだ大手は?
コロナ禍が商社業界に襲い掛かり、五大商社の明暗を分けている。最新決算から「コロナ耐久力」を独自に算出したところ、ランキング上位に食い込む専門商社の存在や、大手商社が落ちぶれる様子が浮かび上がった。
#6 6月2日(水)配信
丸紅・柿木社長に聞く、コロナV字回復を支えた電力ビジネス「脱炭素」の行方
コロナ禍にあって赤字からのV字回復を果たした丸紅(2021年3月期純利益2253億円)。電力ビジネスで商社ナンバーワンの丸紅は、石炭火力発電も多く、脱炭素の風を読み誤れば窮地に陥りかねない。柿木真澄社長に電力戦略を聞いた。
#7 6月3日(木)配信
住友商事に「人権侵害」批判、商社の海外事業の爆弾“第2のミャンマー”リスクを検証
世界中にビジネスの網を張る商社に、新たな問題が急浮上している。人権リスクだ。軍事クーデターが起きたミャンマーでは、数々のプロジェクトが頓挫の危機にある。市民を弾圧する政権と近しいビジネスは「人権侵害」のレッテルを貼られかねない。商社が抱える「第2のミャンマー」リスクを検証する。
#8 6月3日(木)配信
双日社長が語る副業・起業・ジョブ型雇用を進める理由、源流「鈴木商店」への想い
業界6位の双日(2021年3月期純利益270億円)は、副業解禁や起業支援、ジョブ型雇用の新会社設立など、異色の人事制度を矢継ぎ早に打ち出している。その狙いは何か。藤本昌義社長は、ある長年の思いを胸に秘める。
#9 6月4日(金)配信
商社の出世の王道「看板部門」が解体危機!住友商事の金属、伊藤忠の繊維…
かつて出世の王道とされた商社の「看板部門」が大苦戦している。その象徴が住友商事の金属事業部門と伊藤忠商事の繊維カンパニーだ。時代の変化に対応できず老朽化した看板は下ろさざるを得ない。名門の復権はあるのか。
#10 6月4日(金)配信
「1回100万円」商社のセレブ出張が消滅!コロナで働き方が激変した商社パーソンの本音
国内外を飛び回り、時には相手の懐に飛び込んで事業を成立させる――。コロナ禍に伴う移動制限やテレワークの増加は、こうした昔ながらの商社パーソンの働き方を激変させた。現場の最前線で働いている、若手や中堅職員の本音や不安をお届けする。
#11 6月5日(土)配信
伊藤忠・石井社長が激白、首位固めの公算と焦燥「振り返れば抜かれる」
純利益トップの座を三菱商事から奪い、“勝ち組”筆頭商社として勢いに乗る伊藤忠商事(2021年3月期純利益4014億円)は、業界初の純利益6000億円の大台を狙う。岡藤正広会長CEOが「商人」と認めた石井敬太新社長に首位固めの戦略を聞いた。
#12 6月6日(日)配信
三菱商事・垣内社長がDOL初登場!業界首位奪還の「秘策」を直撃
ついに業界首位の座を伊藤忠商事に明け渡した三菱商事(2021年3月期純利益1726億円)。三井物産や丸紅にも抜かれた三菱商事に首位を奪い返す秘策はあるのか。垣内威彦社長が初めてダイヤモンド編集部の取材に応じ、その心中を語る。
#13 6月7日(月)配信
三菱「御三家」で内紛!三菱商事と三菱UFJ銀行がリース子会社で静かなる覇権争い
金融ビジネスは今や、商社の重要な収益源の一つだ。リース子会社を舞台に繰り広げられる三菱商事と三菱UFJ銀行の主導権争いの行方や、新興の金融事業者に出資を続ける伊藤忠商事の狙いなど、商社が金融領域に侵攻するさまを明らかにする。
#14 6月7日(月)配信
商社エリート「出世の条件」激変!事業部ひも付き“背番号”の廃止、若手大抜てき…
成果を重視した評価体系への傾倒や、若手人材の抜てき、所属する事業部にひも付いた「背番号」の廃止など、総合商社が次々に人事制度の抜本的改革に着手している。各社の新人事制度から、これからの商社パーソンの「出世の条件」を探った。
#15 6月8日(火)配信
アクセンチュアのコンサル独り勝ちに「伊藤忠」が待った!領空侵犯の勝算は?
企業のDX支援で活況を呈すコンサル業界で「独り勝ち」状態とされるのがアクセンチュアだ。だが商機をあの商社が見逃すわけがない。伊藤忠商事が、独自の戦略で王者アクセンチュアの対抗に動き始めた。
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