キャッシュフローで見た
JR東日本とJR東海の違い

 ただ、鉄道事業は非現金支出費用である減価償却費の割合が大きいため、実際のキャッシュの動きで見ると、見え方は幾分違ってくる。

 簡易にキャッシュフローを評価する指標であるEBITDA(営業利益+減価償却費)で各社の運輸部門を見ると、JR東日本は約2371億円、JR西日本は約1106億円、JR九州は約265億円の赤字となるが、JR東海は約98億円と限定的だ。大手私鉄では京成が約6億円、西日本鉄道が約29億円の赤字で、それ以外の各社は黒字を維持している。

 JR東海は、東海道新幹線が売り上げの大多数を占める構造だが、同線の収益性が高いため、乗車率が低くても一定の収益を生み出している。対するJR東日本やJR西日本は広大なエリアに多数の路線を持つため、利用の低迷が業績悪化に直結している格好だ。

 JR東日本やJR西日本は、コロナ収束後も鉄道利用者は戻らないと見ており、運行本数の減便や設備のスリム化などローカル線の経費削減に努める構えだが、今後は廃線やBRT(バス高速輸送システム)などへの転換を見据えた議論も加速すると思われる。

 大手私鉄の中で西鉄と京成だけがキャッシュアウトしているのは、福岡県を拠点とする西鉄は元々、鉄道事業の規模が小さいのと、京成電鉄は運輸収入の3分の1を占める成田空港輸送がコロナ禍の影響で大幅に落ち込んでいるためだ。