死亡保障を抑えて、今や保険商品の主役となった医療保険。保険会社は競って新商品を開発しているが、その競争の激しい市場で高評価を得たのはどの商品だったのか。また、持病があるなどで通常の医療保険に加入できない人にとって、ありがたい存在なのが引受基準緩和型医療保険だ。こちらも商品開発競争が激化している分野だ。特集『保険商品ランキング ベスト&ワースト』(全9回)の#2では、保険のプロ24人が厳しい目で選出した医療保険&引受基準緩和型医療保険のランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部 片田江康男、同編集委員 藤田章夫)
超激戦区の医療保険・緩和型医療保険
保障の範囲と多様さが勝因
病気やけがによる入院・手術に備える医療保険。業界内では「やり尽くされている」と言われるほど、差別化が難しい分野だ。もっとも、それだけ消費者のニーズが強く、保険会社も積極的に商品開発をしてきたともいえる。
事実、医療保険の契約件数は2019年度で350万件に上り、定期保険の220万件を大きく突き放すほど熱い市場だ。
かつて医療保険といえば、外資系生命保険会社の独壇場だったが、その後は大手損害保険会社の生保子会社が台頭。今では特集『保険の裏 営業の闇』の#14『日本生命が子会社はなさくの販路拡大「ゴリ押し」、なないろも参戦で代理店大乱戦』で示したように、あたかも大手生保の代理戦争さながらに生保子会社がしのぎを削っている。
では、ランキングといきたいが、その前に押さえておきたいのが、現在の医療事情だ。入院といってもほとんどが短期間で、数カ月に及ぶような入院はまれになっている。
厚生労働省の患者調査によると、14日以内の入院は約7割で、通院治療が基本だ。そのため、「日額5000円×入院日数」といった、これまで主流だった医療保険や医療特約などは、治療の実態に即していないといえる。
保険商品を選んでもらった保険のプロたちの多くが、「昔契約した日系大手生保などの医療保障特約は見直すべきだ」という認識で一致していることからも、その傾向は明らかといえるだろう。
そこで現在は、短期の入院であっても、まとまった一時金を受け取れたりする商品がトレンドとなっている。一方で、入院日数が短期化したとはいえ、いざ入院・手術となれば何かとお金がかかるのも事実だ。とりわけがんの治療はしばらく働けなくなることが多く、まとまった一時金タイプの給付金が人気だ。
さらに、三大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)に加え、糖尿病などを加えた七大生活習慣病への保障を手厚くする商品も人気だ。そうした点を踏まえた上で、商品ランキングを見ていこう。