そうしたこともあって、学生はリアルを求めて「口コミサイト」や「SNSのオープンチャット」を見に行きます。口コミサイトでは企業の内実が的確に語られているものと思いがちですが、実は多くを占めているのは、その企業を辞めた人や、在職しながら不満を感じている人が書いたものであることが実態です。投稿者にとっては本当のことかもしれませんが、“主観”が入り、どうしても全体像を知るには適切ではありません。

 企業をほめそやす文言より毒を含んだ内容のほうがインパクトがあり、もっともらしく見えますが、それが全体ではありません。辞めた人やその企業に合わない人は、その会社の少数派にすぎません。現在活躍しているその企業の多数派の社員は、書かれている内容とは違う現実の中で働いています。口コミサイト、とりわけマイナスの情報を見るときには、このことを意識する必要があります。

受かったエントリーシート、
公開サイトの落とし穴

 また、「ある企業に受かった」と称する人のエントリーシート(ES)を掲載しているサイトもあります。参考にするのは構いませんが、それを真似して書いても受かりません。仮にそれが本当に受かった人のESであったとしても、採用された何百人、あるいは何十人かのうちの個別の一例でしかなく、その文言からその会社に受かるための普遍的な法則を導くことはできないからです。また、結果的に受かった人が書いたESであっても、そのESに現れているものは、その人が採用された理由のごく一部でしかありません。

 インターネットが発達した現代では、口コミサイトやSNSの情報に流されがちです。「公式な情報がその企業が出す真実だ」とまでは言いませんが、第三者のネット情報こそ玉石混交であるにもかかわらず、公式情報よりも簡単に受け入れてしまってはいないでしょうか。