「紹介」を躊躇される場合には、
潔く引き下がるのが正解

 第二の条件は、絶対に「売ろう」としないことです。

 すでに述べたように、お客様が「紹介」を依頼されていちばん心配なのは、営業マンの振る舞いによって、大切にしている知人との関係を傷つけるような事態を招くことです。たとえ、「なんとか力になってあげたい」と思っていただけたとしても、その不安が少しでもあると「紹介」を躊躇するのは当然のことなのです。

 もちろん、そのお客様は、僕に対する信頼をベースに契約してくださったわけですが、「紹介」を依頼されると、改めて、これまでの僕の営業マンとしての振る舞いを思い返して、「彼に知人を紹介しても、本当に大丈夫か?」と厳しくチェックされるはずです。

“超一流の営業マン”は、お客様に「配慮」はするが、「遠慮」はしない写真はイメージです。 Photo: Adobe Stock

 そして、この時点で営業マンにできることはありません。

 それまでの振る舞いがどうだったかがすべてなのです。

 例えば、改めて振り返ると、お客様は「自分は目をつぶって契約したけれど、ちょっとクロージングは強引だったな……」と思われるかもしれません。あるいは、「もういいやと思って契約したけれど、本当のところは100%納得しているわけじゃない。なんとなく誘導されたような感じもするな……」と思われるかもしれません。

 そんな感覚を持たれてしまえば、僕がいくら「保険を売りたいとは思っていません。保険に入るかどうかはお客様が決めることなので、僕の仕事は有用な情報をお伝えすることだけです。ぜひ、ご紹介いただけませんか?」と訴えても、お客様には虚しく響くだけでしょう。

 だから、営業のあらゆる局面で、とにかく「売ろう」という気持ちを捨てて、ひたすらお客様の役に立つ情報の提供に徹することが重要です。たとえ、目の前の「売上」が立ったとしても、そのお客様から「紹介」をしていただけなければ、営業マンは生きていけないことを、決して忘れてはいけないのです。

 そして、もしも、お客様が「紹介」に躊躇されているならば、しつこくしては絶対にダメです。

 そんなことをしては、せっかく築くことができた、契約をお預けいただけるだけの信頼関係すらも傷つけてしまうでしょう。そのような場合には、こちらの営業スタイルに至らない点があったのだと反省したほうが次につながります。

 お客様との信頼関係を損なわなければ、いずれ、身近な知人で保険ニーズをもつ人が現れたときなどに、「彼に紹介してあげるといいかもしれない」と思い出してくださる可能性は残ります。「目先の利益(紹介)」を得るために焦るよりも、長期的な視点でお客様との信頼関係を育てていくことを優先するのが正解なのです(詳しくは、『超★営業思考』に書いてありますので、ぜひお読みください)。