【第3の習慣】
技術がどう社会に役立つかを考えよ!
トップエンジニアの教え

星:他にベイエリアのビジネスエリートから学んだことはありますか。

田村:3つ目はテクノロジーについてです。

現代は膨大な数のテクノロジーであふれています。

プログラミング言語、ツール、クラウド……

きっとどこから手をつけていいのかわからない人も少なくないと思います。

そんな状況を生き抜くヒントになる言葉を、あるトップエンジニアがシェアしてくれたので紹介します。大きな社内ミーティングの席でのことでした。

星:全体集会のようなものですか。

田村:TGIFという全社ミーティングですね。

その席で、インターンに来ていたある学生が聞いたんですよ。

「僕はこれからコンピュータ、テクノロジーで身を立てたいんです。
何かアドバイスはないでしょうか」と。

リモートで参加している人も含めて、全世界から見られている中で。

星:それだけでも感動ものですね。

インターンの学生がTGIFに参加できるというのも驚きです。

田村:羨ましいですよね。そのとき壇上にいた、世界を変える技術をいくつも生み出してきたトップエンジニアがこう言ったんです。

「技術そのものを学ぶことはとても大事。
だけど、その技術がいつ、どこで、どう社会の役に立つか、これを考えることはもっと大事かもしれない。そうすると、いい仕事ができるかもしれないね」と。

星:本当にぜいたくなひとときですね。

高い視座は
さらなるインパクト・成功への近道になる

田村:そのトップエンジニアの発言は、私も気にかけている点です。

この先も新しいテクノロジーが次々と生まれてくると思います。

その中で生き残っていくためには、技術の習得も大事ですが、人がそれらに振り回されないことが大事だと思っています。

星:以前、大阪大学でロボット工学を研究されている石黒浩教授と対談した際、同じ話をしました。

IT、ゲノム編集など科学技術が進歩し、人間が神の領域に入ったなんて言う人もいるけれど、技術が進めば進むほど、倫理や価値の必要性、責任や法律整備の問題が浮き彫りになり、技術をどう使うかがクローズアップされてきます。

教育においても、技術を生み出す人間を重視するのはわかるけれど、倫理面を置き去りにはできない。

田村:私自身かけだしの頃は、倫理や人間と言われても聞く耳を持ちませんでした。

カッコいいプログラム、プロダクトをつくってなんぼだと思っていました。

でも、だんだん見え方が変わってきました。

技術を極めた先、成功した先には何が残るのか。

やっぱり最後は人だろうと。

昔の自分に言ってあげたいですね。聞かないでしょうけど(笑)。

技術を学べば成功できるかもしれない。

けど、高い視座はさらなるインパクト・成功への近道になる。

そのトップエンジニアの言葉は次の世代の方達にも伝えたいですね。

(後編に続く)