かげ:なるほど。沈黙されると、何かしゃべらないと、って思ってしまう自分がいました。

【2人の現役看護師が現場のリアルを語る】向き・不向きより重要な看護師の資質とは何か
かげ
7月27日生まれの看護がとっても苦手な看護師。チョコレート中毒。さまざまな診療科で看護しているが、循環器、消化器、脳神経、救急が特に長い。看護が苦手だからこそ、それをフォローするために看護・医療について勉強し、まとめたイラストを日々描いている。日々の勉強ネタやイラストを公開しているTwitterはフォロワー数4万人を超え、月刊誌『プチナース』、Web『エキスパートナース』、コミュニティサイト「看護 roo!」で連載を持つなど、医療系イラストで活躍。日本うんこ学会より配信予定の大腸がん等の知識普及を目的としたスマホゲーム「うんコレ」でもゲーム内イラストを手がけている。3学会合同呼吸療法認定士/保健師/元塾講師/医療美術部イラストレーター/日本うんこ学会イラストレーター。著書に『ホントは看護が苦手だったかげさんの イラスト看護帖~かげ看~』(永岡書店)がある。

後閑:気まずいからですよね。話題を変えなきゃ、とか思いますよね。

かげ:変えられる話題もない。でも、何か言わなきゃって。たしかに、そういう間に救われるじゃないですけれど、ちょっとした沈黙からの発言は、たぶん家族の本音なのかなと思います。

急に、「家にいた頃、ああだったんだよね」と話しだす人もいたり、顔をなではじめたり……。そうしたら、顔を拭くタオルを渡して、一緒にエンゼルケア(亡くなられた後の処置)に参加するきっかけをつくったり。たしかにしていましたね、無意識のうちに。

後閑:看護師は、察するのが得意な人がわりと多い職種ですから、家族が顔をなでだしたらタオルをスッと差し出せる。そういう気遣いができる職種だと思うんですよね。

かげ:たしかに、無意識にしていますよね。

後閑:無意識に、何もできなかったと思いながらも、きっといろんなことをやっているはずなんですよ。

少し不器用な同僚がいて、まわりに「また失敗して」と怒られたりして、よくしゅんとしているんですけれど、その同僚は、エンゼルケアや、迎えに来た葬儀業者がストレッチャーに乗せる時に、患者さんがまだ生きているかのように声をかけています。

かげ:素敵ですね。

後閑:亡くなっているけれど、「袖を通しますね」「顔を拭きますね」って。

それって、すごく優しい気遣いだと思うんですよね。でも、本人は無意識なんです。やろうと思ってやっているわけではなく、ふだんから普通にやっていることなんです。

かげ:本当は痛みも何も感じないのに、その人のことを考えているんですね。

後閑:だからその同僚に、「亡くなった後も患者さんに声をかけていて、素敵ですね」と言ったら、彼女にしてみれば無意識にしていることだったから、「えっ?」ってびっくりしていました。

かげ:大事だけど難しいことですね。

その看護師さんの看取った後も人として接するということで思い出したことがあります。