サービス利用者が
日頃から行っておくべき対策

 生前に故人がこれらのサービスを利用していたことを遺族が知らない場合、そもそもデジタル遺産の存在すら認知されないという可能性がある。手段が分からなければ、当然泣きを見ることになってしまうため、事前にPayPay上の資産の存在を把握しておくことは必要不可欠だ。

 PayPayのようなオンラインのサービスは、遺族でもセキュリティを突破しにくいという重大な課題がある。スマートフォンにロックがかかっている場合、家族でも携帯電話会社に開示を拒否されてしまうことが多い。

 そのため、利用者が生前に行っておくべきことは、利用しているサービスをリストアップするなどして、家族に共有しておくことだろう。また、スマホのロックパスワードや各種サービスのID、パスワードなどを、メモに控えて机の引き出しなどにしまっておくことも有効だ。

 他にもクレジットカードとサービスの支払いなどを連携している場合、クレジットカード情報を控えておくことも重要だ。遺族が死亡した旨を伝えない限り、知らぬ間にサービス料や会費などを毎月引き落とされてしまう可能性がある。

 繰り返しにはなるが、日頃から家族が使用しているサービスについて、それぞれがしっかりと把握しておくことが今後何よりも重要になってくるのではないだろうか。

死亡後に
電子決済サービス内に残るもの

 死亡後に電子決済サービス内に残るものとして、マネーアカウント、ユーザーページ、残高、取引履歴などがある。ここで注意したいのは、遺族が動かない限り、そのアカウントは永遠に残り続ける可能性があるということだ。

 これは電子マネーに限らず、SNSやFX(外国為替証拠金取引)、仮想通貨のアカウントなど、デジタル化が進んでいる昨今において、非常に重要なテーマとなっている。