性教育を遠ざけたがる大人たちが生み出す
「性教育=ポルノ、セックス」という誤解

 昨年出版された『おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』(KADOKAWA)の著者の1人である村瀬幸浩氏は、「1992年以降も以前も大して変わらない。日本の大人は男性も女性もまともに性教育を受けていない。だから性について子どもに教えられないのは仕方ない」と話す。

 日本の学校の教科書は、文部科学省が制定した学習指導要領に沿って作られているが、教科書での性教育の内容は、現在でも「月経」や「射精」という言葉の意味は教え、「赤ちゃんは、女性のお腹の中で育つ」としながら、受精や性交の仕組みは記されていないなど、大きな疑問点が残されたままだからだ。

 結果、子どもは友人や交際相手、アダルトビデオやインターネットのアダルトサイトなどから性の知識を得る。しかし、そういったものは男性の興奮をかき立てる目的で作られた「妄想」や「ファンタジー」が多く、暴力や支配によって相手を従わせる表現が少なくない。

 一方、性教育を行うことについて、「寝た子を起こすな」と反対する大人がいる。だが、自分たちが10代前後の頃、性への興味・関心は全くなかった(寝ていた)だろうか…?

 村瀬氏は、「正しい知識がない状態で性への好奇心が膨らむことこそ、とても危険なことだ」と警鐘を鳴らす。

 例えば、子どもに「川に入ってはいけない」と禁止するだけでは、子どもはなぜだめなのかが分からず、逆に川が気になって近寄りたくなってしまう。しかし、「川は浅く見えても、急に深くなっているところや、流れが早いところがあって、溺れやすいから危ないんだよ」と丁寧に教えれば、子どもでも理解できる。

 幼児期から性教育に力を入れているオランダでは、15歳までの性交渉経験率や妊娠率が低いという。このことからも、性について正しい知識を得れば、慎重に行動できるようになることがうかがえるだろう。