大学入学試験に「共産党の歴史」
創立100周年を国内外に喧伝

 また、別の側面から分析する知人もいる。

「今の若者は本当に旅行好き。毎週のように出かけている人もいる。今はコロナがあって、海外旅行に出かけられず、国内旅行しかできない。コロナの影響で海外から国内に人材が回帰していて、就職や転職が厳しい中、どうせ旅行に行くのなら、少しでも学校の先生や上司の覚えがめでたくなるようなところに行っておくか、といった心理も働いているのでは……」というのだ。

 そういえば、6月上旬に行われた「高考」(中国の大学統一入学試験)では、「作文」の試験で「共産党の歴史」というテーマが出題されて話題になった。中国共産党創立100年を前に、このような出題を予測していた人もいたようだが、「まさか、ここまでズバリ政治的な問題が出るとは……」と思った人も多かったという。つまり、そのような習近平政権下の“雰囲気”もあって、それを敏感に感じ取っている若者たちが「革命の聖地」に繰り出している、とも考えられる。

 彼らの親世代に当たる筆者の知り合いたちは、次第に強まる言論統制などを懸念し、必ずしも現状を肯定していない人もいる。だが、若者たちのSNSを見ると、「紅軍(中国人民解放軍の前身)の制服を着て記念写真を撮るのは、コスプレみたいでおもしろい」や「本当は日本に行って、好きなアニメの聖地を訪ねたいんだけど、今は行けないから、革命の聖地に行っておく」といったコメントも見かけた。

 ともあれ、中国政府は中国共産党創立100年という大きな節目を国内外に喧伝することに躍起になっている。それを一部の若者たちは、意外としたたかに、冷静に受け止めている、ということがいえそうだ。