転職サイト「ビズリーチ」などを運営する巨大スタートアップ、ビジョナル。『突き抜けるまで問い続けろ』では創業後の挫折と奮闘、急成長を描いています。ビジョナル創業者、南壮一郎氏の経営に大きな影響を与えた人物の一人が現ヤフーCOO(最高執行責任者)の小澤隆生氏です。南氏が東北楽天ゴールデンイーグルスの創業メンバーとして働いてた際の直属の上司であり、今も「事業立ち上げの師」と仰ぐ人物。小澤氏はなぜ問いを立て続けているのか。それは「仮説が合っていたという体験こそ人間本来の喜び」と考えているからだといいます。(聞き手は蛯谷敏)

■インタビュー1回目▶「ヤフーCOO小澤隆生氏「成功事例を徹底的に調べて勝ちパターンを探れ」」
■インタビュー2回目▶「ヤフーCOO小澤隆生氏「名経営者だって外しまくっている。成功するにはとにかく試せ!」」
■インタビュー3回目▶「ヤフーCOO小澤隆生氏「事業の仮説は人間の根源的欲求から立てていく」
■インタビュー4回目▶「ヤフーCOO小澤隆生氏「リーダーが“解き方”を知らないなら指示を出してはいけない」」

ヤフーCOO小澤隆生氏「仮説検証に1年もかけてはダメだ」Photo: Adobe Stock

――小澤さんが問いを立て続ける理由はなんですか。

小澤隆生氏:どうなんだろうね。自分でつくった仮説が当たるとやっぱり、すごく楽しいですしね。

 人間はやりがいを求めているとか言うけれど、いわゆる「世の中のためになる」というやりがいって、突き詰めて言うと「ほめられる」とか、もっと言うと「自分の仮説が当たったのがうれしい」ということなんじゃないかと思っています。

 僕はよく、ジグソーパズルで徹夜しちゃうんです。もともと、単なる絵を崩して元に戻すだけだから何のやりがいもないような遊びなのに、徹夜でハマってしまう。これって何だろうと考えると、「こことここのピースがはまるかもしれない」という仮説に対して、すぐに当たりはずれが分かるかことがおもしろいんだと思っています。

 ピースがぴたっとハマったときの快感ったらない。1000ピースだったら、外れも合わせて何千回もの当たり外れを体験できる。角が見つかった喜びだったり。

 結局人間って、「志」とか言っているけど、動物としては、自分の考えたことが合っていたかどうかという喜びに、最後は脳が喜んで反応するんじゃない? と思うんです。

 自分なりの仮説や、自分が身体を張って挑戦したことが当たっていた。もしくは、自分がつくったものが人から承認された。どんなに小さなことにも仮説をつくり、それが合っていたという喜びを積み重ねていくと、人間は喜びの連続になる。知恵の輪もそれで説明できますよね。

 付け加えるなら、仮説から検証までのタイムスパンは短ければ短い方がいい。だからこそ、仕事をつくるときには、そういうことをやった方がいいし、サービスをつくるときには、「人間というのはそういうものだ」という大前提で考えていった方がいい。

 社内でも散々言っているけれど、仮説検証に1年もかけてたらダメなんです。(談)

 今回、紹介したエピソードのほか、ビジョナルの創業ノンフィクション『突き抜けるまで問い続けろ』では、起業の悩みから急拡大する組織の中で生まれる多様な課題(部門間の軋轢や離職者の急増、組織拡大の壁)に、ビズリーチ創業者たちがどう乗り越えてきたのかがリアルに描かれています。

ヤフーCOO小澤隆生氏「仮説検証に1年もかけてはダメだ」プロ野球「楽天イーグルス」立ち上げ時、南氏の上司だった現ヤフーCOOの小澤隆生氏