転職サイト「ビズリーチ」などを運営する巨大スタートアップ、ビジョナル。『突き抜けるまで問い続けろ』では創業後の挫折と奮闘、急成長を描いています。ビジョナル創業者、南壮一郎氏の経営に大きな影響を与えた人物の一人が現ヤフーCOO(最高執行責任者)の小澤隆生氏です。南氏が東北楽天ゴールデンイーグルスの創業メンバーとして働いてた際の直属の上司であり、今も「事業立ち上げの師」と仰ぐ人物。小澤氏は事業で成功するためには、とにかくたくさんの仮説を立てて、試していくことが大事と語ります。(聞き手は蛯谷敏)
■インタビュー1回目▶「ヤフーCOO小澤隆生氏「成功事例を徹底的に調べて勝ちパターンを探れ」」
――前回のインタビュー(「ヤフーCOO小澤隆生氏「成功事例を徹底的に調べて勝ちパターンを探れ」」)で、小澤さんは事業を始めるにはまず仮説を立てる必要があるとおっしゃいました。そして、仮説を見つけ出すには、相当な情報収集なんですね。
小澤隆生氏:結局、仮説をつくるのは「勝つため」なんです。勝つには潤沢な情報が必要で、それがなかったら戦っちゃダメなんですよ。
だから、勝つためにインプットを増やさないといけない。仮説の土台は情報収集でつくるんです。
だけど、どんなに情報を集めても、仮説は外れることもある。事業をつくり続けていると、毎回当てようと思っているけれど、だんだんと当たる方が稀だと気づいてく。
「自分はそこまで能力が高いわけじゃない」と気づくんだけど、実は名経営者と呼ばれる人も案外、外しまくっているんです。
結局は確率論の話。よく「バッターボックスに立て」と言うけど、とにかく、たくさん仮説を試していくことが大事になります。
EC(電子商取引)でも人材でも決済でもいいけれど、絶えず「ユーザーにとってこういうサービスがいいんじゃないか、こういう勝ち筋がいいんじゃない」という仮説を、徹底した情報収集を基につくり続けることが大事なんです。
僕の仕事というのは、みんなにずっと仮説検証してもらって、その結果を報告してもらっていることなんです。
そして、「当たり」と分かった後がマネジメントの仕事になるんだけど、「当たり」に対して伸びしろはどれぐらいあるか、つまり市場性はあるのか、自分たちがどれぐらいのシェアを取れるのかといった計算をしていくわけです。
「行ける」と思ったら、どれぐらい投資するかを考えて、とにかく競合他者のどこよりも突っ込んでいく。アクセル全開にする。これは、楽天で言うところ「仮説、実行、検証、仕組化」ですね。人によって言い方は違うでしょうが、そういうプロセスを回し続けることがすごく重要なんです。(談)
今回、紹介したエピソードのほか、ビジョナルの創業ノンフィクション『突き抜けるまで問い続けろ』では、起業の悩みから急拡大する組織の中で生まれる多様な課題(部門間の軋轢や離職者の急増、組織拡大の壁)に、ビズリーチ創業者たちがどう乗り越えてきたのかがリアルに描かれています。