転職サイト「ビズリーチ」などを運営する巨大スタートアップ、ビジョナル。『突き抜けるまで問い続けろ』では創業後の挫折と奮闘、急成長を描いています。ビジョナル創業者、南壮一郎氏の経営に大きな影響を与えた人物の一人が現ヤフーCOO(最高執行責任者)の小澤隆生氏です。南氏が東北楽天ゴールデンイーグルスの創業メンバーとして働いてた際の直属の上司であり、今も「事業立ち上げの師」と仰ぐ人物。小澤氏は「リーダーこそまず自分の頭で考えよ」と言います。(聞き手は蛯谷敏)

■インタビュー1回目▶「ヤフーCOO小澤隆生氏「成功事例を徹底的に調べて勝ちパターンを探れ」」
■インタビュー2回目▶「ヤフーCOO小澤隆生氏「名経営者だって外しまくっている。成功するにはとにかく試せ!」」
■インタビュー3回目▶「ヤフーCOO小澤隆生氏「事業の仮説は“人間の根源的欲求”から立てていく」

ヤフーCOO小澤隆生氏「リーダーが“解き方”を知らないなら指示を出してはいけない」Photo: Adobe Stock

――前回のインタビューで小澤さんは、人間の欲求に忠実に従ってサービスをつくっていくとおっしゃいました。人間の「本質」を探り当てよ、ということですね。

小澤隆生氏(以下、小澤):部下に「課題を見つけてほしい」という場合も、事前に考えて、自分なりの正解を持っていた方がいいんです。でないと、部下の持ってきたものが合っているかどうか分からないから。

 よく言うんだけど、算数を教えるという世界には3種類の人間がいます。

 1人は教わる人、これが一番多い。次に教える人。少なくとも、あなたたち管理職は算数を教える人だとすると、正解を知って問題を出さないとダメだよな、と。

 部下に「提案を持ってこい」と言った時、その提案が正しいか間違っているかの判断は、持ってきたものを最初から見るのではなく、最初に教える人が答えを知った上で問題を出さなきゃいけない。先生というのはそういうものでしょう。

 さらに、実はもう1種類の人間がいて、それが、問題そのものをつくる人です。

 トップマネジメントとは、まさにこの課題のところで算数の問題をつくる人です。中間管理職が、算数の問題の解き方を教える人。現場の人は解く人、ですね。

 問題をつくる人の役割は、要するに「こういう公式を使ってくださいね」とか、打ち出し角度と同じような話で、「4番ホールはアイアンを使ってくださいね」というルールを決めることなんです。

 でも、最悪のマネジメントは、絶対に導き出せないような面積を出せ、と言っていたりする。それは最悪です。問題をつくるなら、まずは自分が「こうすれば解ける」という確信を持ってないと、指示なんか出せるわけがない。

――リーダーは、まず自分で考えよということですね。

小澤:そうそう。だいたい本当に人に任せようとしていると何も出てこないということです。もちろん、そういう人は給料をもらう必要がない。(談)

 今回、紹介したエピソードのほか、ビジョナルの創業ノンフィクション『突き抜けるまで問い続けろ』では、起業の悩みから急拡大する組織の中で生まれる多様な課題(部門間の軋轢や離職者の急増、組織拡大の壁)に、ビズリーチ創業者たちがどう乗り越えてきたのかがリアルに描かれています。

ヤフーCOO小澤隆生氏「リーダーが“解き方”を知らないなら指示を出してはいけない」プロ野球「楽天イーグルス」立ち上げ時、南氏の上司だった現ヤフーCOOの小澤隆生氏