中国共産党100周年、「習近平7・1談話」を経て中国はどこへ向かうのか7月1日、中国共産党は100周年を迎えた Photo:JIJI

中国共産党100周年
式典で垣間見える「不都合な真実」

 7月1日、中国共産党が結党100周年式典を終え、101年目に入った。

 これまでも本連載で扱ってきたように、100周年を迎えるに当たり、共産党は、党の歩みを振り返り、マルクス主義、毛沢東思想、そして習近平思想といったイデオロギーや政治思想を大々的にプロパガンダしてきた。その過程でレッドツーリズムを利用し、政治の力で人民の愛国心を扇動し、党の求心力と権威性強化につなげようとしてきた。

 また、特に近年中央からの締め付けを劇的に強化し、政治の“北京化”を通じて、「一国二制度」を形骸化した香港に対しては、『リンゴ日報』を廃刊に追いやる、民主派議員の香港政治における影響力をそぐといった強硬措置を取り続けている(詳細は、『中国共産党100周年へ、「リンゴ日報」廃刊に見る統制強化と不都合な真実』を参照)。複数の党、軍関係者が筆者に語ったように、「香港で国家安全法を導入し、選挙制度の見直しを通じて、香港を愛国的な特別行政区へと変わらせたことは、近年の政策の中でも最大の成果なのだ」という。筆者も、習近平総書記(以下敬称略)を核心とする党の指導部はそう現状を捉えているとみる。

 そんな中で迎えた7月1日当日。

 本来、式典は午前9時開始予定だったが、正午にかけて雨模様になる可能性があったため、8時開始に繰り上げられた。式典会場では、マスクの着用が禁止された。党指導部として、中国がコロナ抑制やワクチンの普及などを達成している現状を内外に誇示する目的があったのだろう。このような光景を眺めながら、習近平への権力一極集中、個人崇拝の横行という「不都合な真実」が継続していると感じざるを得なかった。誰もが習近平に嫌な思いをさせないようにという政治的動機、あるいは恐怖に駆られて動いていたように見受けられる。

 100周年の全てのイベントの中で、最も重要だったのが習近平による重要談話であることは論をまたない。筆者も生中継で見た。本稿では以下、「習近平7・1談話」(以下「談話」)の内容や場面から、中国共産党率いる中国が今後どこへ向かうのかを考えてみたい。