大分県で生まれ育ち、小・中・高と地元の公立校、塾通いも海外留学経験もないまま、ハーバード大学に現役合格した『私がハーバードで学んだ世界最高の「考える力」』の著者・廣津留すみれさん。ハーバードを首席で卒業後、ニューヨークのジュリアード音楽院に進学、こちらも首席で卒業。現在はテレビ朝日系『羽鳥慎一 モーニングショー』のコメンテーターとしても活躍しています。すみれさんが学び、実践してきた「考える力」を、いかに個人や組織で実践するか? 事例やエピソードとともに、わかりやすく紹介します。
テスト満点の頭のよさより
地頭力でイノベーションしよう
日本で“頭がいい”というと、偏差値が高く、テストでいつも満点をとるような人をイメージするのではないでしょうか。
それに対して、“地頭がいい”とは、頭の回転の速さを指すケースが多いような気がします。
当意即妙で笑いをとるお笑い芸人さんをネットやテレビで観ていて、「あ、この人地頭がいいんだろうな」と思うことはありませんか?
アメリカでは、“賢い”ことを「Smart(スマート)」といいます。
これは“頭がいい”と“地頭がいい”の両方に隔たりなく使われています。
私はこのアメリカ流の用法がとても気に入っています。
なぜなら、日本では「おバカキャラ」のレッテルが貼られるようなタレントさんでも、「Smart」であることが多いからです。
学歴やテストの点数で測られる頭のよさではなく、純粋にその人の賢さを「Smart」と解釈することが大事だと私は思っています。
地元大分の公立中学時代、テストの点数はクラスでも最下位に近く、服装はチャラくて、夜は遊び歩いているような友達がいました。
世間的には“おバカ”扱いされるかもしれませんが、私は当時、「この子、地頭いいな」と思っていました。
彼女は「問題解決能力」が、群を抜いて高かったのです。
数学の計算問題は苦手でも、日常生活の困ったことについては、同級生が考えつかないような方法でするりと解決する力がありました。
好奇心も抜きん出ていて、何かあるたびに質問するし、知りたがります。
そして、コミュニケーション能力も高くて、会話の切り返しが鋭い。
議論にはめっぽう強いし、授業中は先生に予想外のツッコミを入れて、クラスを沸かせることもたびたびありました。
いまの世の中、高学歴なら成功するとは限りません。
起業家を例にとると、学歴は高卒でテストの点数は悪かったとしても、地頭がよくて大成功するパターンが珍しくありません。
逆に高学歴のプライドが邪魔して、新たなチャレンジへの第一歩を踏み出せないパターンだってあります。
日本を一歩出たら、日本で通用する高学歴の肩書きだけでは、役に立ちません。
新しいイノベーションによる創造が求められる時代には、私の中学時代の友達のように問題解決能力、好奇心、コミュニケーション能力に優れた「Smart」で“地頭がいい”人のほうがマッチしていると思います。
その後、彼女とは連絡をとっていませんが、ひょっとしたら世界のどこかであっと驚くような活躍をしているかもしれません。