(2)情報を自分で確かめる
 最近はSNSなどを通じて個人が自由に情報を発信できるようになった。これは良いことだが、困った面もある。それはかなりいいかげんな情報が、それも大量にあふれてくるようになったことだ。いわゆるフェイクニュースというものだが、これはSNSに限らず、テレビのワイドショーなどでもあふれている。専門家でもない人がコメントすること自体、疑問に思わないといけないのだが、多くの人は「テレビに出ている人」や「知っている有名人」がコメントすると深く考えずに信じてしまう。心理学でいう「ハロー効果」である。

 投資の世界でも同じことで、実に怪しげな情報や間違った解釈が述べられていることも多いのだが、それらについても安易に信用してしまう人が多い。前述のタイプ1「人の言うことを信じやすい」とか、タイプ4「テレビのワイドショーやSNSの情報を熱心に見る」というケースの人が陥りやすいバイアスだ。

 それらの情報の多くは自分の体験に基づくことや見聞きしたことをベースにしていることが多いのだが、それらは「エピソード」といわれるものであり、「エビデンス」に基づく事実とは異なるものだ。聞いている方からすれば、エピソードの方が面白いし、再現性があるかのごとく勘違いをしてしまう。一方、エビデンスは公開された数字なので、それをベースにして自分で解釈する必要がある。ところが数字だけ聞いても何のことやらわからないという人も多いし、そもそも面倒だ。 

 でも、投資で大事なのはエピソードではなく、エビデンスをベースにして自分の頭の中で判断をすることだ。投資は先の読めないことを推測するわけだが、そのためには公開された財務情報をベースに判断するしかない。投資する先の決算書や最低でも会社四季報ぐらいの資料はきちんと読み込んでおくことは必要だ。

 安易に人の言うことを信じず、常に疑いの目を持つことが大事なのである。