コロナ関連予算とは何か

 各国のコロナ関連予算を予算書から探し当てて合計するのは困難なので、コロナのなかった2019年の一般政府支出に比べて、2020年、2021年に増加した金額をコロナ対策予算としている。国際比較のために、政府支出の対GDP比の上昇幅をコロナ対策予算と考えた(21年はIMFの予測値)。

 コロナ対策予算によって、経済の損失、感染者や死亡者はどれだけ抑えられただろうか。下の図1・2は、コロナ対策予算と実質GDPの成長率である。

 11カ国ではグラフが分からなくなってしまうので、G7諸国と、太平洋の島国の先進国とに分けた。さらにG7だけでも分かりにくくなるので、最も予算を使った国、使わなかった国、中間の国(アメリカ、カナダ、ドイツ、イタリア)と日本の5カ国のみを示した。

 図1と図2に見るように、いずれの国も大幅にコロナ対策予算(実線)を積み増しているが実質GDPの成長率(点線)は低下している。

 二つの図は、縦軸の目盛りを同じにしてあるので、G7に比べてアジア太平洋の国々の成長率の低下が小さく、コロナ対策予算も少ないことが分かる。オレンジの日本を除くと、なおさらそうである。

 2021年は予測なので、2020年だけで考えよう。コロナ対策予算を最も支出したのはカナダ、イギリス(図にはない)、アメリカで、いずれも10%を超えている。

 次が日本の9.5%、イタリアの8.6%と続いている。しかし、実質成長率はイギリスのマイナス9.9%、カナダのマイナス5.4%、アメリカのマイナス3.5%、日本のマイナス4.8%、イタリアのマイナス8.9%と、コロナ対策予算を支出した割には成績が悪いようである。

 このことを確認するために2020年について、縦軸に実質成長率、横軸にコロナ対策予算を取ったのが下の図3である。図に見るように、コロナ対策予算を使った国ほど成長率が低い傾向がある。