「実は最も歴史が長いバター味は、発売当時から味を変えていません。なので、大人になってからたべっ子どうぶつを食べた人が『あの味だ!』と思い出してくれたり、ビスケットに印字された英語を見て懐かしんでくれたりする人も多いですね」

ぽっかり空いた若者ニーズを
取り込むグッズ戦略

 昔から変わらない味や、卵不使用・カルシウム入りなどの特徴から「子どもも安心して食べられる」というイメージが強いたべっ子どうぶつ。しかし、それゆえの“悩み”があったという。

「たべっ子シリーズのメインターゲットはお子さんなので、30代の親御さんにも親しんでいただいています。ただ、10代、20代の若者になるとお菓子のたべっ子を買う機会が減ってしまい、市場が伸び悩んでいました。その理由のひとつが、若年層がよく利用するコンビニの“定番商品”になりにくいこと。箱パッケージが棚を占領してしまうのでなかなかコンビニで扱われず、ユーザーが離れてしまうようです」

 ギンビスでは若者の「たべっ子離れ」を打開すべく、コンビニ向けに食べきりサイズを発売したり、お菓子をゲームセンターの景品にしたりと、若者世代の市場開拓に努めていた。その施策のひとつがキャラクターグッズの発売だったという。

「以前からぽつぽつとグッズを発売していましたが、本格的に展開を始めたのは3年ほど前。なかでも大きく話題になったのが、2019年に発売したカプセルトイです。パッケージのどうぶつたちをフィギュアにしたところ、発売日当日に多くの売り場で売り切れてしまいました。SNSでも『どこで買えるんですか?』『欲しかったけど売り切れていた』などの声を多数いただき、再販もされたアイテムです」

 さらにその翌年発売された「一番くじ ギンビス たべっ子どうぶつお菓子がいっぱいコレクション」も同様に売り切れが続出。「あまりの反響の大きさに驚きました」と、坂井氏は振り返る。