プルデンシャル生命保険で「前人未到」の圧倒的な業績を残した「伝説の営業マン」である金沢景敏さん。営業マンになった当初はたいへん苦労しましたが、あることをきっかけに「売ろう」とするのをやめた結果、自然にお客様から次々と「あなたからサービスを買いたい」と連絡が入るようになりました。どうすれば、そのような営業スタイルを作り上げることができるのか? 本連載では、金沢さんの初著作『超★営業思考』を抜粋しながら、その「秘密」をお伝えしてまいります。

「奇跡」とは祈るものではなく、準備するものである写真はイメージです。Photo: Adobe Stock

「営業スタイル」を替えるには、
“我慢の時期”を過ごさなければならない

 僕は「奇跡は起きる」と信じています。

 なぜなら、実際に「奇跡」を経験したからです。

 僕は、プルデンシャル生命保険に入って、初年度で約3200人の営業マンのなかで「日本一」になることができましたが、これは、誰の目から見ても「奇跡」としか言いようのない出来事でした。「日本一になる」と決めて頑張って追い上げてはいたものの、なかなか1位との差が縮まらなかったのですが、年度末ギリギリになって、数々の「奇跡」が起きたことで大逆転することができたのです。

 初年度の経緯をざっと振り返っておきます。

 入社したのが2012年1月。1ヵ月の研修を終えて、実戦に飛び込んで行った僕は、お客様にアプローチする「母数」を最大化することで、当初の2~3ヵ月はまずまずの成績を残すことができました。

 しかし、3月16日に新年度が始まってしばらく経つと、「売ろう、売ろう」とすることによる弊害がはっきりとしてきました。当時の営業相手であった知人から、僕の営業手法に批判が寄せられ、5月にはついに後輩からクーリングオフをされるという挫折を経験することになります(詳しくはこちらの記事)。

 その後、2~3ヵ月は、成績が“ジリ貧”に陥るなかで、「売ろう」とする営業スタイルを捨てて、「信頼」を蓄積するスタイルに切り替えようと試行錯誤を繰り返していました。そして、8月に長男が生まれたのをきっかけに「俺は日本一になる」と心が決まりました(詳しくはこちらの記事)。また、「いい保険に入られてますね」とお伝えしたお客様から、新しいお客様をご紹介いただくことで、「売ろう」としない営業スタイルに手応えを感じ、状況は少しずつ好転を始めます(詳しくはこちらの記事)。

 とはいえ、実は、この時期がかなり苦しかった。

 というのは、「売ろう」としないスタイルに替えた当初は、「目先の売上」があまり立たないからです。しかし、ここで焦って「売ろう」とするスタイルに逆戻りしたら元の木阿弥。だから、9~11月ごろは、焦る気持ちをじっと我慢しながら、「お客様からの『信頼』を蓄積することだけに集中しろ」と自分に言い聞かせて、必死に動き回っていました。

「奇跡」とは祈るものではなく、準備するものである金沢景敏(かなざわ・あきとし)
元プルデンシャル生命保険ライフプランナー AthReebo(アスリーボ)株式会社 代表取締役
1979年大阪府出身。京都大学ではアメリカンフットボール部で活躍。大学卒業後、TBS入社。テレビ局の看板で「自分がエラくなった」と勘違いしている自分自身に疑問を感じて、2012年に退職。完全歩合制の世界で自分を試すべく、プルデンシャル生命保険に転職した。当初は、思うように成績を上げられず苦戦を強いられるなか、一冊の本との出会いから、「売ろうとするから、売れない」ことに気づき、営業スタイルを一変させる。
そして、1年目にして個人保険部門で日本一。また3年目には、卓越した生命保険・金融プロフェッショナル組織MDRT(Million Dollar Round Table)の6倍基準である「Top of the Table(TOT)」に到達。最終的には、自ら営業をすることなく「あなたから買いたい」と言われる営業スタイルを確立し、TOT基準の4倍の成績をあげ、個人の営業マンとして伝説的な業績をあげた。
2020年10月、プルデンシャル生命保険を退職。人生トータルでアスリートの生涯価値を最大化し、新たな価値と収益を創出するAthReebo(アスリーボ)株式会社を設立した。著書に『超★営業思考』(ダイヤモンド社)。