一件の契約が「運命」を変える

 きわめつけは、「最終日」の3月15日のことです。

 直前に、保険をお預かりしている女性税理士さんから(この方と信頼関係を築いた経緯は、こちらの記事)、一本の電話をいただきました。その税理士さんのご実家が、大阪にある老舗の会社で、その会社の後継社長である弟さんに会ってほしいとおっしゃるのです。

 もちろん、すぐに大阪に飛んで行って弟さんにお目にかかると、「まだ保険に入っていないので、自分に適したプランをつくってほしい」とおっしゃいます。その後、電話やメールでやりとりをしながらプランをつめていきましたが、3月15日までに契約をお預かりできるかどうか微妙な状況でした。

 ところが、なんと弟さんから連絡が入って、3月15日に東京出張があるとおっしゃいます。聞くと、東京着が12時すぎの新幹線とのことでした。プルデンシャルの「締め」は同日14時でしたから、僕は、「新横浜でその新幹線に乗るので、車内でご契約の最後の確認をできませんか?」とお願いしました。

 すると、「さすがに新幹線の中は困るが、東京駅で時間をつくる」と言ってくださいました。それで、東京駅のガヤガヤしたパン屋さんの片隅で、契約内容についてご説明させていただきました。僕の配属されている支社の所長がお店の外で待機してくれていて、ひとつの契約が終わるたびに会社に運んでくれて、ギリギリ14時までになんとか契約を完了することができたのです。

 あとでわかったことですが、この契約が14時に間に合わなければ、2位に終わっていました。

 ずっと1位だった営業マンも、逃げ切るために年度末にものすごい勢いで追い込んできていたので、本当に僅差での勝利。もしも、弟さんが3月15日12時東京着の新幹線に乗る予定でなかったならば、僕は2位に終わっていた。まさに、「奇跡」としか言いようのない出来事だったのです。

「棚」に「ぼた餅」を置かなければ、
絶対に「棚からぼた餅」は落ちてこない

 たまたま、「棚からぼた餅」が落ちてきただけだろう?

 そう思う方もいるでしょう。たまたまラッキーが続いて、「日本一」になったと言われれば、その通り。否定するつもりはありません。

 ただし、ただ単に寝っ転がっているだけでは、「棚からぼた餅」は落ちてきません。誰かが、「棚」に「ぼた餅」を置かなければ、絶対に「ぼた餅」は落ちてこないのです。それに、大量に「ぼた餅」を置いておかなければ、次々に「ぼた餅」が落ちてくることもありません。つまり、一生懸命、「棚」に「ぼた餅」を置く努力をしていなければ、このような「奇跡」は起きないということです。

 そして、僕は、その努力をずっとしていました。

「僕という人間」を信頼してくださるお客様を、コツコツと増やす努力をずっとしてきていたのです。「目先の売上」を追うのではなく、「保険に入るなら、金沢から入ろう」「保険に入りたい知人がいたら、金沢に紹介しよう」と思っていただけるような関係性を築く。そのために、一日一日を大切にし、一件一件のアポイントを大切にしてきたのです。

 そして、営業は「確率論」です。

「僕という人間」を信頼してくださる方の「母数」が増えれば、必ず、僕に「保険に入りたい」「知人を紹介したい」と連絡をくださる件数は増えるのです。

 だから、僕は「奇跡」は起こせると思います。お客様からの「信頼」という「資産」をコツコツと蓄積していけば、自動的に「奇跡」は起きるからです。「奇跡」とは願うものではなく、準備するものなのです(詳しくは、『超★営業思考』に書いてありますので、ぜひお読みください)。