お母さんと一緒であれば娘さんも安心です。ただ、海外では性教育の延長線上に子宮頸がんの検診がありますが、日本ではまだオープンに性を語る雰囲気ではありません。性感染症である子宮頸がんと、我が子を結びつけたくない親はたくさんいます。

 でも、かわいそうなのは両親の思い込みで検診を受ける機会を失い、がんの早期発見・早期治療のチャンスを失う子どもです。将来的な結婚や妊娠出産に、確実に暗い影を落とします。

 娘さんが子宮頸がんの検診を何度か受けるようになる頃には、親御さんのほうはそろそろ50代に入るのではないでしょうか。そうしたら、ご夫婦で手をつないでがん検診に行きましょう。

 がん検診は「うまく利用する」ことがポイントです。ただし、残念ながら検診によってすべてのがんを見つけられるわけではありません。だからこそ、「検診を受けているから大丈夫」と思わずに、身体の不調のサインを見逃さないようにしていただきたいと思います。

(監修/国立がん研究センター検診研究部部長 中山富雄)

中山富雄(なかやま・とみお)
 1964年生まれ。大阪大学医学部卒。大阪府立成人病センター調査部疫学課課長、大阪国際がんセンター疫学統計部部長を経て、2018年から国立がん研究センター検診研究部部長。NHK「クローズアップ現代」「きょうの健康」、CBCテレビ「ゲンキの時間」などのテレビ番組や雑誌などを通じて、がん予防、検診に関する情報をわかりやすく伝える活動を行っている。