また、稼ぐ力の復活だけでなく、EV戦略の構築も欠かせない。日産は、量産EVの先駆けとなった「リーフ」を開発した実績を持つ。それだけに、世界的な脱炭素の強まりとEVシフトの加速化の中で、EVリーダーの復権を狙っている。7月初めには、英国工場の隣接地に中国系企業と組んでEV向け電池の新工場設置と、新型EVを生産する計画を発表した。

 この電動化戦略を含めたCASE対応の開発投資には莫大な費用がかかるため、業績復活はEV戦略の大前提となる。業績復活後の戦略について、内田社長は「今秋にも日産長期ビジョンを発表したい」とする。

新車投入が減少したゴーン時代
内田体制でブランド回復なるか

 かつてゴーン体制の後期には、日産は新型車の投入が少なくなり、開発投資よりも足元の業績だけに注力していた時期が続いた。特に母国市場の日本での新車投入の空白が続いたことで、かつてトヨタとトップ争いをしていた日産の国内販売は今や5位に落ちている。

 その反省からか、内田体制では構造改革の一方で、新型車投入によるブランド回復や販売店の士気向上に力を入れる。コロナ禍や半導体供給不足での生産体制の懸念はあるが、強力な新型車が投入されれば、それだけ日産陣営全体のモチベーションアップが期待できる。