より安定、高品質な回線を求めて既存の回線から切り替えるのはもちろん、迂回(うかい)ルートとしての利用も期待していると高月さんは語る。特にネットワーク事業者は回線の安定性を確保するため、第2、第3の迂回ルートを確保する必要がある。一方で和歌山から四国を経て大分を結ぶ光ファイバーの容量が逼迫(ひっぱく)しているといい、山陽新幹線沿いの光ファイバーは新たなルートとして期待されている。

 今年から始まるのは光ファイバーを芯線単位で貸し出す「芯線貸し」で、こちらは借り手が増幅器を整備する必要がある。一方、来年度春からは「波長貸し」と言われる高速データ通信サービスを開始する予定で、こちらはJR西日本光ネットワークが増幅器を用意して帯域で貸し出す。

 大手通信事業者であれば芯線単位で借りてくれるが、規模の小さな事業者でも利用しやすいメニューとなる。JR西日本によれば、波長貸しを行うのは鉄道事業者では初めてだという。加えて総務省の認定電気通信事業者を取得して、駅から市中までの配線工事を自前でできる体制を整えるなど、できることは何でもやるという姿勢だ。

鉄道各社との「相互乗り入れ」で
広がる光ファイバーネットワーク

 とはいえ、新規参入したばかりのJR西日本にとって、新幹線沿いの光ファイバーという切り札はあれども、顧客の開拓は容易ではない。

「一番苦労したのは、営業面でノウハウが全くないことです。光ファイバーを貸すと簡単にいっても、どんなお客さんがいるのか、いくらで借りてくれるのか、そもそもどうやって売り込みにいけばいいのか、ということが全く分かりませんでした。そこで阪神ケーブルエンジニアリングさんにかなりの力を貸していただきました」

 なぜ、阪神ケーブルエンジニアリングがJR西日本の手助けをしたのか。