実は鉄道事業者の光ファイバーネットワークは「相互乗り入れ」を行っている。首都圏でも東京メトロ、東京都交通局、東急電鉄、小田急電鉄、京王電鉄、東武鉄道、相模鉄道が「7社局共通ネットワーク」を構成しており、各社、局をまたいだ利用が可能となっている。

 関西・中京では阪神電鉄と近畿日本鉄道、名古屋鉄道が相互に接続し、ネットワークを構成しており、JR西日本もこれに加わることになる。つまり阪神にとってもJR西日本の参画によりネットワークの価値向上が図れれば、ビジネスチャンスに結び付くというわけだ。

 それだけではない。

「JRと阪神が並行する大阪~三宮間は鉄道ではライバルですが、光ファイバーを借りてくれる利用者からすれば迂回ルートにもなります」

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 つまり、光ファイバーの「複々線」である。

 JR西日本では、今後さらなるネットワークの拡充を図る構えだ。

「山陰線にも鉄道事業用の光ファイバーを敷設する計画があります。その中で今回の新事業の話が出てきたので、事業用にも使えるように最初からちゃんと整理して有効的に使おうと考えています。また山陽線も広島県の三原までしか通じていないので、下関まで延ばすべく工事が始まっています」

 相互ネットワークを構成する近鉄では、三重県の鵜方から国際海底ケーブルに接続している。さらに福岡では、韓国の釜山につながる海底ケーブルに接続する構想もあるようだ。光ファイバーネットワークは、JR西日本管内を越えて世界へつながろうとしている。

【訂正】記事初出時より以下のように訂正します。
2段落目:日本テレコム(現ソフトバンクテレコム)→日本テレコム(現ソフトバンク)
(2021年8月30日18:30  ダイヤモンド編集部)