ひろゆきが明かす「ある天才に完全敗北したときの話」ひろゆき氏(撮影:榊智朗)

現在、日本中で大ブレイク中のひろゆき氏。
全国のベストセラーランキングで続々と1位を獲得し、34万部を突破した著書1%の努力』では、その考え方について深く掘り下げ、人生のターニングポイントでどのような判断をして今のポジションを築き上げてきたのかを明らかに語った。
この記事では、ひろゆき氏に気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)

人生最大の敗北

 みなさんは、敗北感を味わうことはありますか?

 おそらく、あると思います。僕もそうです。天才になることは、早々に諦めましたから。

 というのも、僕は小学校のときに、パソコンを手に入れて、プログラムを書くことに興味を持ちました。そこで、人生最大の挫折を味わうことになります。

嫉妬さえ起こらない瞬間

 もっとも挫折を経験するのは、「その発想はなかった!」と思うときでしょう。

 ミュージシャンも、芸人も、映画監督も、「それは自分も考えていた」と思うときがあると言います。発想というのは、人間である限り、限界があります。

「アイデアに価値はない」とよく言われます。要するに、「そのアイデアを実現させるだけの根性」や「若いときのエネルギー」などが差となって現れるだけです。

 だから、先を越されたときに「悔しい!」と思ったり嫉妬したりするんです。

 ただ、世の中には、嫉妬さえ起こらないほどに「そんな発想があるのか!」と思い知らされる場面もあるのです。

天才は、諦めた

 僕が、「完全な敗北感」を味わったのは、あるプログラムを見たときです。

 パソコンでゲームをすると、数字の「テンキー」で操作することがありますよね。いわゆる「十字キー」というやつで、「4」で「左」、「6」で「右」に動かすやつです。

 これをプログラムするときに、普通の人は2行のプログラムを書きます。「4を押したら左に移動せよ」「6を押したら右に移動せよ」と、2つの指示をコンピュータに向けて書き込みます。

 しかし、天才は違います。

 天才は、1行でその指示を与えることができます。

「押した数字から5を引いた分だけ、操作せよ」という1行を書きます。そうすると、その1行だけで「-1」「+1」の移動をプログラミングできてしまうのです。

 それを知ったときに、「うわーそんなこと絶対に思い浮かばないよ」と思いました。

「食っていく能力」を身につけよう

 とはいえ、「才能」と「食っていく力」は違います。

 それは、たとえば、天才的な数学の能力がなくても、経理の仕事や会計士ができることと似ています。

 プログラムを書く才能は、僕にはありませんでした。しかし、プログラムでお金を稼ぐことは、才能とは別の要素なのです。むしろ、才能は邪魔になってくるかもしれません。

 音楽の場合、絶対的に美しいメロディを書けることより、大衆に向けてマーケティング的に作れるほうが、お金を稼げます。

 歴代のCD売上で上位に入る人は、みなさん、そこそこの音楽の才能と、圧倒的なマーケティング能力が、掛け算されています。日本一の印税を稼いでいる某音楽プロデューサーは、たぶん音楽的な才能でいえば、日本一ではないはずです。

 なので、才能がないみなさんも、チャンスは転がっています。純粋な才能は諦めて、さっさと「楽して食べられる道」を探りましょう。それがまさに、「1%の努力」ということです。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、34万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。