論点は積極財政の中身に移行
内閣には「高市派」の登用を

 自民党内には、河野陣営を中心に、まだまだ緊縮、新自由主義勢力は存在している。国債とは通貨発行であり、自国通貨建ての国債のデフォルトは考えられないといったことを理解し、正しい貨幣観を持っている高市氏でさえ、消費税減税や廃止を主張すれば、党内の多くの理解を得られず、推薦人20を集められないという状況だったようである。

 しかし、総裁選の論戦を通じて、やはりコロナ禍のような非常時においては、緊縮だPB黒字化だなどと言っている場合ではないという考えが浸透したことは、岸田氏が勝利したことからも明らかであろう。

 よって、来るべき衆院選の争点も、自民党総裁選の争点と同様に、緊縮財政vs積極財政、新自由主義vs保守主義といった論争が大きな流れになると考えられるが、前述の野党の動きからも分かるように、さらにその先に進んで、積極財政の具体的な中身、対象、具体的な措置、メニューが論点となるのではないか。

 これは、国民にとっては非常にいい話であり、前向きな政策論争が選挙戦において繰り広げられうるということである。

 もっとも、それは岸田新総理率いる新内閣が、どのような布陣となるのか、岸田官邸がどのような構成になるのかによって、その中身や程度は大きく変わってくるだろう。

 まず岸田氏の総裁選における政策や主張は、まだまだ具体性に欠け、より精緻化していく必要があるところで、新内閣でどのような人材がブレーンの位置を固めるのかによって、当初の主張や政策からのブレが生じる可能性がある。

 その意味では、今回決選投票で共同戦線を張り、政調会長に就任した高市氏の政策、高市氏が主張していた政策を上手に丸のみして、さらなる具体化、精緻化を図っていくことができれば、緊縮財政や新自由主義からの転換は決定的なものとなるだろう。

 なんといっても高市氏の政策は、具体的かつ体系的であるのみならず、モジュール化されているとも言えるので、必要な部分を上手に活用しやすいと考えられるからである。

 それらをさらに政府の政策にまで落とし込み、法案化し、執行していくためには、高市氏の政策をしっかりと理解している人材が閣僚として岸田内閣に参加することが必須であろう。