川上と川下の決定的な違いとは?
川上から川下へという世の中の流れを頭に入れた上で、次に頭に入れるべきことは、これら川上と川下の性質の違いによって求められる価値観や考え方が異なっていることです。通常社会は抽象から具体の三角形(先の図参照)で示されるように、相対的に川下側に行けば行くほど多くの人がかかわる構図となっており、多くは川下の価値観が支配的です。
あえて本連載にて「アーキテクト思考」の重要性を説くのは、それがともすると少数派として軽視されたり、価値観として認められなかったりすることによります。
ただし、それは抽象度の高いものを扱うことから構造的にある程度やむをえないことなのです。
次に川上と川下の仕事や集団における特徴を、それらを対照させて見ていきましょう。川上と川下の決定的な違いについて、その代表的なものを表に示します。
基本的に社会や組織の大多数は川下の論理や価値観で成り立っています。それが「アーキテクト思考」が世の中に決定的に不足している理由です。
もちろん後述のように、「そもそも川上は少数で良い」という大前提はありますが、それでも先に述べたような世の変革ニーズが高まるにつれてアーキテクト思考という川上の思考回路の重要性は上がってきています。
次回は、このような「川上」という「川下」とは異なる環境下で「マイノリティでありながらも存在感を出す」ためにはどうすればいいかを、その違いから具体的な行動パターンの違いとして考えて行くことにします。
ビジネスコンサルタント・著述家
株式会社東芝を経て、アーンスト&ヤング、キャップジェミニ、クニエ等の米仏日系コンサルティング会社にて業務改革等のコンサルティングに従事。近年は問題解決や思考力に関する講演やセミナーを企業や各種団体、大学等に対して国内外で実施。主な著書に『地頭力を鍛える』(東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)『具体⇔抽象トレーニング』(PHPビジネス新書)、『考える練習帳』(ダイヤモンド社)等。
坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者・
キャップジェミニ・アーンスト&ヤング、日本コカ・コーラ、