抽象から具体への流れ
このような流れというのは、実は抽象から具体への流れと言い換えることができます。一度組織や仕事等の一つの系が「問題」として定義されると、以後、それは問題解決の流れをたどることになります。問題解決の流れというのは、概ね抽象概念を具体に落とし、それを実行していくという流れになります。
その流れにしたがって、あたかも川の上流と下流の性質が異なるように、問題解決においても上流と下流では、重要となる要因やそこに登場するプレイヤーの性質も異なります。
本連載のテーマである「アーキテクト思考」とは、その流れにおける最上流の思考を行うための思考回路といえます。
建物の全体構想を決める、プロジェクトの全体構想を決める、製品やサービスの全体構想を決める、イベントの全体構想を決めるといった形で、仕事の最上流にはアーキテクトが不可欠です。
ここでいう「全体構想」とは「問題の定義」と一般化していってもよく、問題をどのような視点でとらえるかという「場」の定義ということもできます。
仕事や日常生活全般でも「まず何をするか?」という企画段階から実行に推移していく流れも、川上から川下へと表現できます。
何事も時代の大きな変化によって新しい世代がその思考回路とともに登場し、それが安定期に入って収穫に移っていくという流れを経ます。
このような流れの中で、特に川上側で必要とされるのが「アーキテクト思考」です。