有名人が「やらないこと」
ひろゆき氏:方法論がわかったので、あとは他の人も同じスタイルでどんどんやっていくだけだと思ったんですが……。後続の人が育っていないですよね。
これは予想外でした。岡田斗司夫さんやDaiGoさんくらいがそこそこうまくいっている感じですが、もっと増えると考えていましたから。
みなさん、得意ジャンルが偏りすぎなのかもしれないですよね。岡田さんはアニメや映画などのサブカルですし、DaiGoさんはライフハックとか健康のこととか。
――どんなジャンルの質問でもすぐに返せるのが魅力なんでしょうかね?
ひろゆき氏:いや、そうじゃないと思います。このスタイルをスタートさせるなら、最初に「ある程度の知名度がある」というのはかなり有利な条件です。今のところは、そのアドバンテージがあると思います。
だから、芸能人や有名人も、ダラダラと長時間、コメントを拾うようなスタイルをやってみたら、きっとうまくいきますよ。
でも、売れっ子の人は、そんなことに時間かけないですよね。テレビや営業のような単発でサクッと稼げる仕事を優先させるでしょう。
僕は、ある程度の知名度がありつつ、時間もたくさんあるという「恵まれた条件」が揃っています。だから、頭ひとつ抜けてうまくいっているんでしょうね。
――なるほど。知名度がある人は時間がなくて、時間が有り余る人は知名度がない……。すごいジレンマですね。
ひろゆき氏:あと、お酒を飲んで自由にコメントに返すのは、シンプルに好きなんですよね。やっていてまったく苦にならない。
飛んでくるボールを打ち返したり、クイズを出されて即答する、みたいな感じです。
これが、「いい答えを返したい」「カッコよく見られたい」とかの欲が絡むと違ってくるんでしょうね。
あと、お酒を飲んだら口が滑ったり、暴言を吐いたり、本当に言ったらいけないことを言うような人もいるでしょう。そういうタイプじゃなかったのもよかったんでしょう。
ニコニコ動画のときから10年近く、このスタイルでやっていますからね。ベロベロに酔っ払っても大丈夫だという実験はすでに済ませていますから(笑)。
――ということは、無理に「ひろゆきスタイル」をマネしてもダメだということですね。
ひろゆき氏:向いている人もいると思うんですけどね。
そろそろ現れてくるんじゃないでしょうか。そのあたりは、次回お話ししましょう。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、34万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。