これらの統計からもわかるように、広東省側から見れば、港珠澳大橋を通じて導入できる「香港資源」はすでにそれほど多くはないのだ。一方、これまであまり眼中になかった深センは、活況を呈しており、魅力的だ。

「ダブルY型」に変わると経済的効果は高い

 しかし、今、深センと東莞で合わせて700万台以上の自動車は、中国本土と香港・マカオに行ける両地のナンバープレートを持っていないため、港珠澳大橋をまったく使用できない。

 そこで、専門家は「ダブルY案」で深セン接続線を建設することを新たに提起しているのだ。深センを港珠澳大橋につなげ、少なくとも400万台近くの深センの自動車が、珠海に来られるようになれば、閑散とした港珠澳大橋も本来の効果を発揮できるようになるだろう。

 港珠澳大橋が「ダブルY型」に変身すれば、深セン市の南山区、蛇口、前海と香港北部にとってはたいへんなメリットが出る。香港と深センを結ぶ新しいルートがさらに一つ増えることになるのだ。

 珠海とマカオにとっても大きな利益となり、400万台の車が深センの市民を運んできて、ショッピング、住宅購入、マカオへの旅行がより便利になり、これらの地方の経済が大きく刺激される。

 いまや宝の持ち腐れになっている港珠澳大橋も「ダブルY型」になれば、今後は大きく期待できそうだ。

(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)